ここでは富士山登山の『事前に準備する対策』、『登山中の対策』、『高山病になってしまってからの対策』をまとめます。知っておくことで慌てずに対処でき、高山病になるリスクも下げることができるので、一緒に学びましょう。
何度も高山病になったぼくが
自分の体で検証しました
高山病ってなんだろう?
高山病とは急に標高が高い場所に移動した際に酸欠状態になることで発生する様々な症状のことを言います。
主な症状は、頭痛、息切れ、疲労、吐き気、嘔吐、眠気(めまい)であり、風邪のような症状です。
以前、御嶽山に登る機会がありました。
子供は特に高山病になりやすいらしく、そのときには、30人に1人くらいは、高山病となる子がいたと山小屋でうかがいました。
スキー場に遊びにきて高山病になった人も見たことがありますので、体調や体質にもよるのかもしれません。
事前にできる対策|どうすればかからない?
睡眠を十分にとること
前泊も良い対策です。睡眠不足、体調不良で無理な登山は、高山病にかかりやすくなります。登山ガイドであっても睡眠不足であれば高山病になることもあると言われています。
富士登山の失敗はだいたい弾丸日帰り計画で寝不足からの高山病が原因です。しっかり睡眠をとりましょう。私も寝不足で何度高山病になったか分かりません。
登山中にいくら対策をしても寝不足だと
どうしてもリスクが高くなります
酸素缶を使う
酸素缶は原則不要です。良く初心者が勘違いしているのは、酸素缶・スプレーがあれば高山病になっても登頂できるという誤解です。
ダイビングするような巨大なボンベを担ぐなら別かもしれませんが、現実的ではありません。
利用用途としては高山病で動けなくなるほどひどくなった場合に、酸素を取り入れて回復してから下山に臨むという方法です。
そこまで重症化することは稀ですし、そもそも不要な荷物を減らして体力に余裕を持たせた方が登頂確率は上がります。
高山病になったら即下山です。
下ると嘘みたいに元気になります。
批判覚悟で言うと、酸素スプレーは富士登山にいらない。初心者が増えてきたから言うけど、酸素缶があるから高山病は怖くないは嘘。同じくらいの標高の他の山で酸素スプレーを持つ人がいないのに、富士山だけ皆持っていく。実際はいざ高山病になったら一瞬でなくなるし、下るしかない。高山病を防ぐには… pic.twitter.com/bODHu4qKDp
— ヤマノ@アウトドア道具オタク (@yamaloglist) July 9, 2023
登山開始してからの対策
水分補給
体重60キロの人が1時間行動すると、300ミリの水分と300キロカロリーのエネルギーを消費します。
さらに富士山では、高所で水蒸気が少なく喉が乾くので、1時間に400ミリの水分補給が必要という見解もあるので、意識的に飲む必要があります。
喉が渇いた時点でもう遅い
乾く前に飲みましょう
水分補給は、一気にがぶ飲みではなく、約15分ごとに少しずつ飲むのが吸収効率が良いと言われています。
富士山はトイレも多いので、トイレの心配をせず、こまめに水分補給して下さい。
登山中だけでなく、登山開始前、山小屋到着後、就寝前、頂上到着後、下山開始前などにも、水分補給は忘れずに。
またハイドレーションによる水分補給も効果的です。
喉が渇いてから一気に水分をとると、ばてやすくなるので注意です。水分補給を怠ると、血液中の酸素が不足し、脳への酸素供給が足りなくなります。
歩くスピード
通常の歩くスピードの1/3以下で会話ができるレベルの歩行スピードが勧められています。
高山病になりやすい人は体力があり、早く歩くことができる20代~30代が多いことからも歩くスピードはかなり重要な要素であることがわかります。
初心者のほとんどは確実にオーバーペースなので、意識的に遅くする必要があります。
一人で登ると余計に早くなりがちなので気を付けましょう。パーティで登るなら会話ができる程度のスピードで歩きましょう。
呼吸
当たり前ですが、呼吸は酸素を取り入れるためにとても重要です。
深い呼吸を心がける。普段運動しない人は、簡単な山を登り、練習することで、心配機能を鍛える。深呼吸も有効です。
特に休憩中は深い呼吸を意識的に行うとかなり効果があります。
飲酒や喫煙を避ける
高山病にかかりやすくなるので、飲酒や喫煙を避けましょう。精神安定山や睡眠薬の摂取も避けることが必要です。
高山病になってしまったらどうする?
結論として、下山してください。
それ以外に対応方法はありません。
高山病対策に酸素ボンベを持っていく方がいますが、
やめた方が良いと思います。
一般的な酸素缶の容量は5Lですが、これで数分持つかどうかの量です。
わずか数分酸素を取り入れたところで、効果が出る可能性は低いです。
むしろ、酸素缶が切れたときにリバウンドで症状が悪化する可能性がありますので、
効果の薄い荷物を増やすことはおすすめできません。
富士山とほぼ同じ標高の北岳で酸素缶を持っている人は見たことがないので、富士山商法ではないかと聞いたこともあります。
高山病になったら下山しかないので、ならないようにする対策が重要ということですね。
回復には下山後、数時間は必要と言われています。
私が高山病になったときの症状と対応
私は高山病に2度ほどかかったことがあります。
いずれも冬期の登山で、唐松岳の八方池山荘付近、蝶ヶ岳の登山口から30分地点です。
冬の唐松岳八方池 決してキツイ山ではないのに何故?
唐松岳は金曜日の夜名古屋を出発して朝に登山口近くに到着。仮眠をとってすぐに登り始めました。
思えばこの時点で「睡眠不足」という原因の1つがありました。
唐松岳はロープウェイやリフトで標高を稼ぐことができ、短時間で八方池まで至ることができます。
この急激に標高が高いところに移動することで、ますます高山病リスクが上がっていたのだと思います。
第一ケルンを超えると、徐々に吐き気を感じてきました。
私は肩こりがかなりひどいときがあるので、肩こりによるだるさのように思い、高山病を疑うことはなかったです。
とはいえ、可能性はあるとは思ったので、保温ボトルに入れた暑いお湯を飲みながらゆっくり登っていました。
異変を感じたのは八方池手前です。明らかに気持ち悪さがおかしいのです。
これはまずいと思い、一度引き返してみました。すると第一ケルンまで戻ると症状が軽くなったのです。
ここで高山病であることが確信できました。
もう仕方ないので、さっさと下ってレストハウスでご飯を食べました。下ったらすぐに元気になりました。
冬の蝶が岳 ハイスペースラッセルの中、嘔吐
蝶ヶ岳は前日に冬の上高地を吹雪の中重い荷物を運んだので、体力不足だったのかなと思います。
年末のとても良く晴れた日でした。
当時は早朝で登山口近くで、複数の登山者が登り始めるタイミングを図っていました。
私は割と遅めの出発で、スノーシューが必要となるくらいの積雪の中、割とハイスペースで登り続けていました。
中腹を超えた頃に異変を感じました。
かつて唐松岳で感じた以上の吐き気とだるさです。治るかと淡い期待を胸に少し時間をおいてみましたが、嘔吐してしまいました。
感じる症状は酷い車酔いのようでした。
下山すると嘘のように元気です。
いずれにしても修行不足、体調管理が不足しているとかかりやすくなるようです。
まともに歩くことが困難だったので、こうなったら下山するしかなさそうです。高山病になったら胃腸が弱っている兆候なので、胃腸薬が効くようです。
下山したらすぐに治りました。
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