トランゴタワーGTXは、スポルティバの登山靴の中でも人気の一足。
人気の理由は、3シーズン用の登山靴として申し分ない性能なのはもちろん、かかとにコバが付いていて、セミワンタッチ式のアイゼンを使って、4シーズン登山靴として冬山でも使うことができるからです。
そんなトランゴタワーGTXですが、どの程度のレベルの冬山でも使えるのか気になる方も多いはず。
今回は、そんな人気のトランゴタワーGTXが、どのレベルの冬山まで使えるのか徹底調査しました。
結論:「入門~中級の冬山」なら使える
結論から言うと、トランゴタワーGTXは、中級の1,000m程度の冬山までなら使うことができます。
よほどの悪天候にならない限り、1,000mまでならそれ程気温も下がらないからです。
また、豪雪地帯の冬山でも、1,000mまでなら十分に使うことができるでしょう。

積雪が多い場合は、行動時間が長くなると足先が冷えてくることもあるので、注意が必要です。
トランゴタワーGTXとは?スポルティバの人気モデルを解説
ここでは、スポルティバの人気モデル、トランゴタワーGTXについて解説していきます。
対応アイゼン(セミワンタッチ対応)
対応アイゼンは、6本などの簡易アイゼンはもちろん、12本爪のセミワンタッチ式(後ろのみビンディング)と、前後ベルト式のアイゼンを使うことができます。
トランゴタワーGTXで行ける冬山なら十分な性能のアイゼンを使うことができます。

アイゼンと靴には相性があります。アイゼンを購入する時はトランゴタワーGTXとの相性を必ず確認しましょう。
トランゴタワーGTXの基本スペック
まずはトランゴタワーGTXの基本スペックについて記載していきます。
アッパーには、高強度ナイロンが使われています。ナイロン製のアッパーは、軽くて柔らかいので、歩きやすさに寄与しています。また、高強度のハニカムガードになっているので、万が一アイゼンなどで踏んでしまっても、足が守られやすくなっています。
ライニングはゴアテックス製で、防水透湿性もとても高くなっています。
ソールにはビブラム社と共同開発されたソールが使われていいて、縦走から岩場まで、どんな路面でもグリップが高くなっています。つま先にはクライミングゾーンがあるので、立ちこんだ岩場でも使いやすくなっています。
ミドルソールはEVA製で歩きやすいですが、比較的硬めになっているので、重い荷物を担いでの縦走や岩場での安定性はもちろん、アイゼンを装着したときの密着度も高くなっています。

トータルバランスに優れて、まさに4シーズン使いやすい登山靴です。
| 画像 | トランゴタワーGTX |
| アッパー | 高強度防水ナイロン6.6+ハニカムガード+フレックス・テック3 |
| ライニング | GORE-TEX |
| ソール | Vibram社製CUBE用ソール |
| 重さ(片方) | 約745g |
| アイゼン | セミワンタッチ式対応 |
| 詳細を見る |
トランゴタワーGTXの位置づけ|4シーズン対応モデル
ここでは、トランゴタワーGTXの位置づけについて、他のスポルティバのモデルと比べてみます。
アルパインモデルとライトアルパインモデルの違い
アルパインモデルとライトアルパインモデルの違いは、
・つま先にコバが付いているか
・保温材がはいっているか
の2点になります。
上記2点を満たしていれば、アルパインモデル、満たしていなければライトアルパインモデルになります。
つまり、アルパインモデルは雪山に特化した登山靴とも言えます。
夏山で使えないこともありませんが、保温材があるため暑く、ソールも硬くほとんど屈曲しません。また、靴底も平らなので、歩行がかなり難しくなります。

トランゴタワーGTXは、ライトアルパインモデルなので、夏山でも快適に使うことができます。
トランゴシリーズの中での立ち位置
トランゴタワーGTXは、シリーズの中で最も標準的なモデルになります。
トランゴシリーズの他のモデルは、本格的な雪山で使える保温材入りのモデルとして、トランゴタワーエクストリームGTX、トランゴタワーアイスキューブが、より夏山に向いた軽量なトランゴテックGTX・トランゴテックレザーGTX、最新技術が投入されたトランゴキューブGTX、最も耐久性の高いレザーモデルのトランゴ アルプ エボGTXがあります。
様々なモデルがあるトランゴシリーズの中でも、価格や性能、機能をバランスよく備えたのがトランゴタワーGTXです。
| 画像 | トランゴタワーGTX | トランゴアルプエボGTX | トランゴテックGTX | トランゴキューブGTX | トランゴタワーエクストリームGTX | トランゴアイスキューブGTX |
| シーズン | 4シーズン | 4シーズン | 4シーズン | 4シーズン | 雪山 | 雪山 |
| 特徴 | 高バランス | 高耐久 | 軽量 | 縫製箇所が少ない最新技術 | 保温材入り | 保温材入り +軽量 |
| アッパー | 高強度防水ナイロン6.6+ハニカムガード+フレックス・テック3 | ペルワンガー社製防水レザー2.2mm+サブスキン・インジェクション | 高耐久性ファブリック+ サーモテックインジェクション | 耐摩耗ファブリック+サーモプラスチック加工 | 高防水6.6ナイロン+ハニカムガード+Flex Tech3 | 耐摩耗性ファブリック+サーモプラスティックコーティング+発泡ポリウレタン製ランド |
| ライニング | GORE-TEX | GORE-TEX | GORE-TEX | GORE-TEX | GORE-TEX | GORE-TEX |
| ソール | Vibram社製CUBE用ソール | Vibram社製CUBE用ソール | Vibram社製CUBE用ソール | Vibram社製CUBE用ソール | Vibram社製CUBE用ソール | Vibram社製CUBE用ソール |
| 重さ(片方) | 約745g | 約790g | 約590g | 約733g | 約745g | 約690g |
| アイゼン | セミワンタッチ式対応 | セミワンタッチ式対応 | セミワンタッチ式対応 | セミワンタッチ式対応 | ワンタッチ式対応 | ワンタッチ式対応 |
| タイトル | 詳細を見る | 詳細を見る | 詳細を見る | 詳細を見る | 詳細を見る | 詳細を見る |
3シーズン登山靴との違い
4シーズン使えるトランゴタワーGTXが、3シーズン用登山靴と違うところは、
・セミワンタッチ式のアイゼンが使える
・アッパーが丈夫で保温性も高い
・ソールの強度
になります。
セミワンタッチ式のアイゼンが使えるのはもちろんですが、アッパーの頑丈さも大切です。理由は、アイゼンの爪が万が一アッパーに当たっても、貫通しない、切れたりしない丈夫さが必要だからです。
副次的な効果として、丈夫なアッパーはある程度の厚みがあり、保温性も3シーズン用よりも高くなります。
ソールの強度は、歩行重視の3シーズン用と比べるとしっかりしていて、アイゼンが密着しやすいのも、見逃せないポイントです。
冬山での使用は可能?
ここでは、トランゴタワーGTXが4シーズン用として、どの程度の冬山までなら使えるかについて記載していきます。
低山の日帰り雪山登山(標高1,000m程度まで)
積雪のある冬山でトランゴタワーGTXを使う場合の目安は、標高1,000m程度までが1つの目安になります。
理由は気温で、1,000m付近までなら、よほどの悪条件でない限り気温が下がりきらないからです。また、この程度の標高なら、木の上まで雪が積もることもほとんどなく、風が強くなっても、体感気温にあまり影響がないからです。
ただ、低山でも長時間ラッセルを強いられるような場合は、靴が雪に埋まるので冷えやすく、保温材の無いトランゴタワーGTXでは厳しくなることもあります。
結局どの程度まで使えるかは、気温と条件によるところが大きくなるので、無理せず少しずつ経験を積んでくことで慣れていきましょう。

条件が良ければ、短時間限定ですが1,500~1,700mでも使えることがあります。
残雪期の高山登山
春~夏の残雪期であれば、2,000m以上の高山でも使うことができます。
残雪期であれば、雪があっても気温がそれほど下がることがないからです。

過信は禁物ですが、ほとんど問題無く使用できます。
山小屋泊まりの軽めの雪山
山トランゴタワーGTXは、小屋で宿泊する軽めの雪山でも使うことができます。
標高が高くなく、歩行時間が短めで、小屋泊まりであれば靴を温め・乾燥することができるからです。
気温や積雪などの条件によることもあるので、無理せず少しずつ経験を積んでいきましょう。

テント泊の場合は、軽めでも靴が冷え切ってしまうので、トランゴタワーGTXにはやや荷が重いです。
使用が難しい冬山のレベル
次に、トランゴタワーGTXには難しい使用場面について記載していきます。
厳冬期の3,000m級縦走
厳冬期の3,000m級の縦走には、使うのは難しくなります。
気温が極端に下がるので、保温材が無いとかなり厳しいからです。
厳冬期の高山に行くことを考えている方は、無理せずに保温材の入っているモデルを検討しましょう。
極寒環境(八ヶ岳の厳冬期など)
また、厳冬期の八ヶ岳など極寒の環境で使うのは難しいでしょう。
理由は上記と同じで、気温が極端に低く、保温材が無いと足が冷えてきてしまうからです。

標高約2,200mの赤岳鉱泉でも、冬の平均気温はマイナス10~マイナス20℃。厳冬期の八ヶ岳がいかに極寒かわかりますね。
長期間の雪山テント泊
また、長期間の雪山テント泊で使うのも難しいでしょう。
先ほども記載しましたが、夜間の間に靴が冷えてしまうからです。
単純に気温が低くなり靴が冷えてしまうこともありますが、靴の中は冬でも意外と蒸れるもの。その水分が靴の中で凍ってしまい、靴を履いた時に足が一気に冷えてしまうこともあります。
テント泊を考えている方は、無理をせずに保温材の入った冬靴の購入を検討しましょう。
トランゴタワーGTXの冬山性能|メリットとデメリット
次にトランゴタワーGTXを冬山で使うときのメリットと、デメリットについて記載しています。
メリット
- オールシーズン使える汎用性の高さ
- 軽量性と歩きやすさ
- セミワンタッチアイゼンの装着が可能
- 岩稜帯から残雪期まで幅広く対応
メリットの1つは、なんといってもオールシーズン使える汎用性の高さです。夏の山に慣れてくると、冬の山にも登りたくなるもの。その際に雪山の入り口だけでも、トランゴタワーGTXなら体験することができます。
その他、3シーズン用の登山靴としてみても、軽量で歩きやすく、しっかりとした作りで、縦走から岩稜帯まで幅広く使うことができます。
デメリット
- 保温性は本格冬靴に劣る
- 厳冬期向けとしては性能不足
- 極寒環境では足先の冷えが課題
デメリットは、保温材が使われていないので、本格的な冬用の登山靴としては使用できないところです。
これは仕方のない面もありますが、本格的な雪山に挑戦したい場合は、冬靴を手に入れましょう。
トランゴシリーズには、保温材の入ったトランゴタワーエクストリームGTXもあります。
冬山用モデルとの比較|トランゴタワーエクストリームGTXとの違い
ここでは、保温材の入ったトランゴタワーエクストリームGTXとの違いについて記載していきます。
保温材の有無が最大の違い
まず1つ目は、保温材の有無にになります。
これが最大の違いで、保温材を使ったトランゴタワーエクストリームGTXは、冬の雪山でも問題無く履くことができます。
その他には、つま先にもコバがあるのでワンタッチアイゼンが使えます。また、足首部分には、本力が高く、雪が入りにくいように、ショートゲイターが付いています。
価格差とスペック差
ここでは、トランゴタワーエクストリームGTXとトランゴタワーGTXを比べてみますね。
| 画像 | トランゴタワーGTX | トランゴタワーエクストリームGTX |
| シーズン | 4シーズン | 雪山 |
| 特徴 | 高バランス | 保温材入り |
| アッパー | 高強度防水ナイロン6.6+ハニカムガード+フレックス・テック3 | 高防水6.6ナイロン+ハニカムガード+Flex Tech3 |
| ライニング | GORE-TEX | GORE-TEX |
| ソール | Vibram社製CUBE用ソール | Vibram社製CUBE用ソール |
| 重さ(片方) | 約745g | 約745g |
| アイゼン | セミワンタッチ式対応 | ワンタッチ式対応 |
| 定価 | 63,800円(税込) | 63,800円(税込) |
| タイトル | 詳細を見る | 詳細を見る |
基本的なスペックはほとんど同じになります。
エクストリームは、保温材を使っている以外には、フロントにもコバがあるので、ワンタッチアイゼンを取り付けることができます。
価格は、定価ベースなら同じになります。ただ、雪山でしか使えないことを考えると、エクストリームGTXのコスパはやや悪くなります。

ソールが硬く、夏山での歩行には使いにくいので、3シーズン使用は厳しくなります。
ショートゲイター仕様の効果
- 保温力の向上
- 雪が入りにくい
トランゴタワーエクストリームGTXには、ショートゲイターが装備されていて、その効果は上記の2点になります。
ショートゲイターは、足首部分に密着し足の温度が逃げにくく、雪が入りにくくなるからです。

さすが雪山使用の靴ですね!
実際の使用者の声|レビューと評判
ここでは、実際にトランゴタワーGTXを購入した方のレビューを記載していきますね。
まずは3シーズンでの使い心地ですが、ソールは硬いが、歩きやすいというものが多かったです。
また、フィット感の良さに関する物も多くありました。
4シーズン使用に関しては、雪道を4時間歩いても冷たさを感じなかったというがありましたが、厳冬期に使うのは難しいので、冬はトランゴタワーエクストリームGTXを使っているというレビューもありました。

レビュー内容のほとんどは、満足度の高いものでした
ソールがかなり硬めなので、平坦路でキツイかと思いましたが、全く問題なしです。全体のフィット感も抜群でした。川にくるぶしあたりまで入りましたが、防水性能も完璧でした。長く履けそうです
楽天みんなのレビューより
【総評&感想】やや前傾にデザインされてますので平坦地は少し歩きにくいですが山道に入れば力強く蹴り出して進むことができます。ビブラムソールはどのシーンでも食いつきが良くハイペースで進めます。アッパーは柔らかく足首の負担も少なく、ミッドソールは硬くもなく柔らかくもないベストな反発力で長時間の歩行も脚への負担が少なくて良い感じです。この靴は保温性もよく片道4時間程度の雪道なら指先に冷たさを感じることなく歩けます。ゴアテックスの防水性能も良く浸水せず、通気性の良さから蒸れずに良い感じです。アイゼンの固定も問題なく出来ます。
価格ドットコムレビューより
トランゴタワーGTXをおすすめできる人・できない人
どんな人がトランゴタワーGTXに向いているかについて記載していきますね。
おすすめできる人
結論から言うと、おすすめできる人は、
- 雪山初心者で低山から始める人
- オールシーズン1足で済ませたい人
- 残雪期登山をメインに考えている人
- 本格雪山に進むか未定の人
になります。
まずは、これから登山を始める人、すでに3シーズン登山を楽しんでいて、これから少しずつ雪山に挑戦していきたい方におすすめです。
その他に、残雪や冬の低山に行く方で、通年で1足で済ませたい方にもおすすめ。
また、冬山に挑戦する予定がない方にも、3シーズン登山靴としておすすめすることができます。万が一、雪山に当選したくなったときも使うことができます。

オールマイティに使うことができるトランゴタワーGTXは、多くの人にオススメすることができます。
おすすめできない人
おすすめできない人は、
- 厳冬期の本格雪山登山を目指す人
- 極寒環境での登山が多い人
- 最初から高性能な冬靴を求める人
になります。
まずおすすめできない人は、本格的に雪山登山を始めたい方、もしくはしている方です。
トランゴタワーGTXは、保温材が無いので本格的に雪山を楽しみたいときには不向きだからです。
また、ワンタッチアイゼンも取り付けることができませんし、足首部分のゲイターなど、冬靴にあると便利な機能も装備されていません。
本格的に冬山を楽しみたい方は、次の項目で冬靴について記載していくので参考にしてくださいね。
より本格的な冬山を目指すなら?おすすめの代替モデル
より本格的に冬山を楽しみたい方には、以下のモデルをおすすめします。
- ネパールエボGTX(厳冬期対応の定番)
- ガッシャブルムG5(ハイエンドモデル)
- スカルパ モンブランプロGTX
- トランゴタワーエクストリームGTX(冬季強化版)
スポルティバ:ネパールエボGTX
まずは何といっても厳冬期の定番モデル、スポルティバのネパールエボGTXがおすすめです。
フィット感が高く、厳冬期登山靴としての高い保温性があるからです。また、ロングセラー商品ならではの信頼性の高さもあります。

冬山のテント泊の縦走などにも使うことができます。
スポルティバ:ガッシャブルムG5
次は、同じくスポルティバのハイエンドモデル、ゲイター付きのガッシャブルムG5です。
本格的なゲイターと一体式になっていて、すね付近までゲイターで覆うことができます。また、靴ひもではなく、BOAシステムと呼ばれる、ダイヤルで靴ひもを締めあげる仕組みになっているので、片手で簡単に調整が可能です。
また、標高の高い海外の山でも使える保温力の高さも、見逃せないポイントです。厳冬期の登山もしたいけど、足が冷えやすいという方におすすめです。
スポルティバ:トランゴタワー エクストリームGTX
3つ目は、スポルティバのトランゴタワー エクストリームGTXです。
トランゴタワーエクストリームは、トランゴタワーGTXに保温材と、足首部分にショートゲイターを使ったモデルで、テント泊の縦走以外であれば、ほとんどの場面に対応できます。

745gと他のモデルと比べると圧倒的に軽いのが良いです。
スカルパ:モンブランプロGTX
4つ目は、スカルパのモンブランプロGTXです。
900gと冬靴としては比較的軽く、履き心地が良いのが特徴で、保温性とのバランスに優れたモデルです。
冬用の靴としては価格も比較的リーズナブルなので、初心者の方などにおすすめです。
まとめ|トランゴタワーGTXは「入門~中級の冬山」なら使える
スポルティバの登山靴の中でも人気のトランゴタワーGTX。
人気の理由は、3シーズンの登山靴としての性能の高さはもちろん、4シーズン登山靴として、1,000m程度の冬山でも使えるところです。
どんなところでも、どんな場面でも使える万能なトランゴタワーGTXを履いて、4シーズンアクティブに山を楽しみましょう!
















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