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TJARの死亡事故、トレランでできる対策とは?

この記事はPR商品を含みますが、消費者庁国民生活センター厚生労働省の発信する情報を基に、ヤマノブログがインターネット調査を行い、コンテンツ制作ポリシーに則り作成しています。

近年、健康ブームやコロナの環境下、比較的密を避けられるアクティビティとして、トレラン人口は年々増加しています。

編集部ランナーもなじみのトレランコースを走しると

毎回新しい顔に出会うほど。

ただトレランは山の中という自然環境の中で行うアクティビティ。自然は必ずしも人間の安全に配慮してくれるものではありません。

当然日常の街中と比較して事故や怪我の危険は高くなります。

今回はそんな美しくも危険と隣り合わせな自然の中で行うトレランで、どのようなリスクがあるのか。

また予防や処置などランナーはどのような対処をとるべきなのか。

編集部ランナーもトレラン時の手首骨折

過去の事故事例を紹介しつつ解説してみたいと思います。

ぜひ最後までご覧ください。

この記事の結論
・どんなに経験や実績を積んでも事故のリスクは常に付きまとう
・事故を防ぐことも大切だが、怪我をした時のリカバリー考えて準備・行動することも重要
・常に自分にも事故は起こりうるという謙虚な気持ちが重要。慢心は禁物

この記事を書いた人

ギアをこよなく愛する道具オタクです。

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私は低山で道迷いをしたり、雨のツェルト泊で寝袋が水没して凍えたり、濃霧の暗闇をさまよったり、危ない思いもしてきました。これは私の知識が足りず、愚かだったからです。

素人で失敗を重ねたからこそ、優秀な登山ガイドやプロ登山家に語れない体験を経て、皆さんには装備の失敗も危険な登山もしないで欲しいと強く思います。だからこそこのブログを作りました。

登山は後から始めた方が安全に楽しめるレジャーです。リアルな失敗談を読み、反面教師として活用してくださいね。

トレラン事故を防ぐなら過去の事例を知っておくこと

過去にどのような事故があったかを知っておくことは

どのような対処・準備をするべきかを考える上でとても

重要です。

TJAR女性完走者・中央アルプス登山中の死亡事故

2019年2月10、中央アルプス仙崖嶺で発生した滑落事故。

滑落したのは、TJAR(トランス・ジャパン・アルプスレース*日本海から太平洋まで日本アルプス415kmを8日以内に踏破する日本最長の山岳レース)を完走した経験をもつ女性山岳アスリート。

この日は仲間と三人で登山中、足を滑らして滑落してしまったとのこと。2月の厳冬期中央アルプス。

おそらくかなり凍結していたと思われる。

この事故の特徴は以下の点。

  • 滑落したのはかなりの経験と実績を誇る熟練山岳アスリート
  • 厳冬期の高山での事故

トレラン中の事故とは少し趣が違いますが、滑落したのはトレランの世界でも相当の実力者であった方。

山スキーにも精通し、雪山の経験値も申し分ないレベルだったようです。

そういった方でも、一歩間違えば滑落する危険性を山は孕んでいるということでしょう。

特に雪山は他のシーズンに比べ、危険度は数倍に膨れ上がります。やはりいつも念頭に「事故は自分にも起こりうる」ということを常に考えて山にのぞむべきと考えさせられる事故でした。

丹沢トレラン事故(大持山)

2017年11月18日に開催されたトレランレース「Fun Trails 100K」で発生した死亡事故。

105kmのコースに参加していた50代のランナーが、15km地点のなだらかな下りで立ち止まり、前屈の姿勢から後方に倒れ、そのまま後方の斜面に滑落してしまった。

ヘリで救助されたが搬送先の病院で残念ながら死亡が確認されたもの。

この事故で特徴的なのは以下の点。

  • 急な下りを飛ばしすぎて誤って滑落したものではない
  • 滑落死したランナーは山登りの経験も豊富でレースの山域も何度も訪れている慣れたコースだった。
  • トレランでも登山並みの装備を持ち、下も走らないほどリスク管理意識の高いランナーだった。
  • 100kのレースに参加資格があるくらいなのでトレラン経験も豊富なランナーだった

確実な原因はわからないですが、もしかしたら体調不良から意識を失い倒れた先に不幸にも斜面がり滑落してしまったのかもと言われています。

中国のトレラン事故

2021年5月22日、中国・甘粛省で開催された100kのトレランレースで発生した大量死亡事故。死亡者数は21人にも上ってしまい、人数の上ではトレラン史上最大の事故と言える。

この事故の主な原因は、天候の急変よって引き起こされた低体温症によるもの。

死亡者が集中していたのは1000D +の急な登りセクション。急登ゆえ多くの選手が引き返すのをためらい、先に進む判断をしていまい、結果予想以上の天候悪化のため命を落としている。

この事故の特徴は以下の点。

  • UTMFという大きな大会で準優勝の有名選手をはじめ、経験・実力共に折り紙付きの選手たちが多く犠牲になったこと。
  • 5月のレースで、過去はどちらかというと暑さとの戦いが焦点のレースだったこと。
  • 制限時間が比較的厳しいレースで、先を急ぎたくなる心境になるレースだったこと。

このレースでは必携品の中にジャケットがなかったなど指摘されている点がありますが、ここまで天候が急変するとジャケットがあっても難しいんじゃないかと思います。

例年、暑さとの戦いとなるレースだったためもあるでしょう。

しかし今回の事故は、どうしても軽装にならざるを得ない「トレラン」装備での、標高2000mクラスの山域レースのリスクを改めて考えさせられる事故となりました。

六甲山トレイルラン事故(三浦さん)

2020年7月26日、兵庫県六甲山で発生した死亡事故。

死亡したのはトレランショップ店長の男性。トレラン歴も長いベテランランナーであった。

この日は女性三人をアテンドしてのトレランでだった模様。

休憩中滝壺で女性一人が溺れそうになり、それを助けに向かった際溺れて死亡してしまった。

女性の方は無事助かっている。

この事故の特徴は以下の点

  • 亡くなったのは経験豊富なベテラントレイルランナー
  • 走行中でなく休憩中の事故
  • 滝壺で溺れた水難事故

この事故のケースは「水難事故」であり滑落、骨折といった走行中の事故とは少し趣が違いますが、山の中には所々に沢や滝壺があることも多いです。暑い季節はトレラン中沢に浸かるのは大きな楽しみの一つ。

今回もおそらく休憩中に滝壺に近づいて、誤って落ちてしまい溺れてしまった女性を助けに入ったのでしょう。

滝壺に巻き込まれると洗濯機のような状態になり、もがいても浮かんで来れずそのまま死亡してしまうことが多いとのこと。

夏のトレラン中に水に入る際は、増水していたり普段と違う様相の場合は、近づくのを控えたり注意をすることが必要なことを考えさせられる事故です。

白山のトレラン事故

2020年10月11日に石川県の白山で発生した死亡滑落事故。

死亡したのは富山県から訪れていた50代の男性。装備はトレラン仕様。トレランのトレーニング中の滑落事故と思われる。具体的な原因は不明だが、標高1400m付近「岩間道」というルートを通行中だったと思われる。

当時「岩間道」は崩落箇所があり通行止めの案内がされていた。

この事故の特徴は以下の点

  • 単独でのトレーニング中の事故だった。
  • 事故の起きた場所は当時崩落等で通行止になっていた登山道だった。

事故に遭われた方は、単独で標高2000m級の白山に入っているので、おそらくそれなりに経験値のあるランナーだったと思われます。

経験値があったとしても確実に山での事故を避けられるわけではないという事例。

さらに事故が起きた「岩間道」は通行止めになっていて未整備で相当荒れたルートになっていたと考えられます。

あえてそのルートを選んだのか、道間違いをしてしまったのかはわかりませんが、やはりルート選定・道間違いの場合は面倒でも登り返しリカバリーすることが重要でしょう。

ハネツネの死亡事故

2007年奥多摩で開催された日本山岳耐久レース(ハセツネカップ)で発生した滑落死亡事故。

事故現場は奥多摩の小河内崎から御前山に向かう痩せ尾根。事故が発生した時刻は夜11時過ぎのこと。

ハセツネカップは24時間以内に規定の距離を走破するレースなので夜間もヘッドランプを装備して続行される。

この事故の特徴は以下の点。

  • 午後11時過ぎという夜間に発生した事故
  • それなりの時間・距離を走って疲労した状態で発生した事故

夜の11時過ぎという通常の登山では行動しない時間帯に事故は起きています。さらに夜間の山を走っているという特殊な状況。

滑落された方は、この時上位入賞も狙えるタイムで走っていたそうです。相当疲労もあったと思われますが、やはり入賞したい気持ちが強く無理をして走っていたのではないでしょうか。

いかにレースとはいえ、通常は山の中を行動すべきでない時間帯は、順位を犠牲にしてもペースをおとすべきなのかと考えさせられた事故でした

トレラン事故の原因は?

トレイルランニングの最中の事故。

その原因はどのようなものがあるのでしょうか?

以下考えられる原因を挙げてみます。

トレラン事故の原因
  • 装備等持ち物の準備不足
  • 体力・技術の不足
  • 天候の急変
  • 道迷い

まだまだ考えられますが、やはり急激な天候の急変以外は「慢心と油断」が事故につながるといえるでしょう。

慣れてきたのでつい救急用品を持たずに山に入り怪我の措置ができない。自分の体力以上の距離やコースにエスケープを考えずに入り途中で疲労で動けなくなる。

地図や地図アプリを準備せずよく知らないトレイルに入って道迷いしてしまう。

これらはやはり「慢心と油断」が原因でしょう。

山・自然というのはどんなに経験を積んだベテランでも、時に命を飲み込まれてしまうことがありえる、人智の及ばないもの。そういう謙虚な自覚が事故を防ぐ上で大切なことでしょう。

軽量化したい気持ちがあっても、安全のための装備は必ず持つ

トレランに慣れてくると誰もが、スピードアップや軽量化

のため持ち物を減らしたいと考えます。

持ち物の取捨選択はもちろん必要なことですが、山に入る以上省いてはいけない持ち物もあります。

特にトレランというアクティビティはその性質上、どうしてもハイキングなどに比べ、「軽装」になります。

そして「軽装」なのに「怪我のリスクはハイキングより高く」なってしまいます。

したがって怪我防止やリカバリの肝になる以下のような装備は、必要なさそうでも、安全のためには持っておく習慣をつけておいてください。

持ってくべき安全装備
  • エマージェンシシート(薄手のビバーク用保温シート)
  • ホイッスル(救難を知らせるため)
  • 応急処置セット(テーピング、消毒液、絆創膏など)
  • ヘッドランプ(怪我などイレギュラーがあれば予定通り日中戻ってこれないことも)

あとは水分や食料も余分に持っておくと安心です。

上記のようなものは慣れてきたらついつい必要なさそうに思えて、もたずに山に入ってしまいがちです。

しかしトラブルというものはどんなベテランランナー・登山家にも起こりうるものという自覚のもと行動するようにしましょう。

トレイルランでの遭難対策

トレランでの遭難対策で大事なのは

次の2点

  • 自分の体力・走力レベルを自覚してコースや走行距離を選定する
  • コースの地図を携帯したり、GPS地図アプリを活用する

自身の走力では走破できないようなコース設定は疲労遭難のもとですので、十分自覚して注意が必要です。

あとはやはり道迷いを防ぐためには地図・地図アプリの活用が重要。

推奨は、紙の地図とアプリを併用することですが、まずは地図読みが苦手な初心者にもわかりやすいGPS地図アプリの活用をお勧めします。

地図アプリの代表的なものを4つ紹介しておきます。

地図アプリはGPSオンで山域を選択して、現在地にズレがないことを確認してスタートします。

作動中はバッテリー節約のたスマホを「航空機モード」にしておくのがお勧め。

できればモバイルバッテリーを持っておくと尚安心ですね。

トレイルランでの怪我防止

トレイルランでの怪我防止のために大切なのは「慢心」しないことです。

山では常に、どんなにベテランになっても怪我のリスクは無くなりません。

具体策としては

  • 岩場などガレた下りでは飛ばしすぎない。
  • できれば疲労しすぎないペースを保つ(疲労すると足がもつれて転倒や捻挫しやすくなるので)
  • 怪我のリカバリーのために深い山に一人で入らない。

トレランでの怪我は下りで飛ばしすぎて転倒したり、疲労した足で下りの時足を捻ってしまったりと、「下り」で発生してしまうことが多いです。

レースに勝つためには下りを攻める必要ももちろんあるのですが、あえて危険を冒さず温存するのも戦略です。

怪我をしてリタイヤになってしまえば元も子もないですからね。

あとは一見緩やかな下りでも転び方によっては骨折などの重傷につながることもあります。油断は禁物です。

下の画像は編集部ランナーの手首です。

トレーニング中緩やかな下りで油断して転倒。

打ち方が悪く手首骨折の重傷でした。

慣れてきても、いや慣れてきたからこそ油断せずにいることが重要ですね。

怪我をしたら、想像以上に行動ができなくなってしまいます。

私の場合、右手首骨折だったのでスマホ操作がほとんどできなかったですね。

たまたま五人ほどで入山していたので応急処置や、病院に送ってもらったりと

助けてもらえました。

このような経験からも、怪我をしないためには「油断とムリ」をしないこと。

そしてそれ以上に大事なのは、怪我をして時のリカバリーを想定しておくこと。具体的にはやはり

  • 山には誰かと一緒にトレーニングに入る。
  • どうしても単独の場合は、下山に時間のかからない里山で、尚且つそれなりにハイカーさんも訪れる山を選ぶ

この2点に気をつけておいてもらいたいですね。

まとめ

山という自然を舞台に行われるトレイルランニング。

自然を相手にする以上人智の及ばない領域は必ずあるもの。美しくもありますが、常に人間にとって危険な環境とも隣り合わせなのが山というものです。

トレランに限らずですが、山に入る時には、常に慢心することなく謙虚な姿勢が大切。

「いつでも事故は起こりうるし、それは他人事ではない」という自覚のもとしっかりとした装備、準備をして楽しむようにしたいですね。

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