登山をしている方でも、4シーズンに対応する登山靴なんてあるの?と疑問に思う方も多いかもしれません。
ですが、冬といっても厳冬期を除く残雪期や初冬であれば、しっかりとした作りの3シーズン用の登山靴でもこなすことができます。
もちろん、3シーズン用の登山靴を冬山で使う注意点やコツなどを抑える必要はあります。
そこで、本記事では残雪期を含めた4シーズンに対応した登山靴のおすすめモデルを注意点も含めて紹介するので、登山靴を選ぶ時の参考にしてくださいね。
冬でも標高2000m以下しかいかないなら、
冬専用靴よりも4シーズン用登山靴の方が割安に済むこともある。
目的に合わせて選択しよう!
この記事の結論
4シーズン登山靴はメーカーによって表記が異なる
一般的に「4シーズン用登山靴」と呼ばれるものは、メーカーによって表記は違いますが、以下のようなものになります。
- ライトアルパインモデル
- 岩稜帯用
- 3シーズンモデル
これらのタイプの登山靴は工夫次第で季節を問わず使えるため、4シーズン用登山靴と呼ばれるのです。
登山用品店の店員さんや登山ガイドの人も
4シーズン用と呼ぶこともあるので、一般に浸透した呼び方と言えるでしょう
3シーズン用の登山靴と4シーズン用登山靴は
同じものを指すことが多いよ
メーカーとしては冬の使用を推奨するものではないから、仕方ないね
4シーズン登山靴と言えども冬に使えるのは標高2000m以下
以下のような人は4シーズン向けの登山靴は向かないので注意しましょう。そのような人は、3シーズン向けの登山靴と冬専用靴で分けた方が良いでしょう。
- 厳冬期の冬山に挑みたい
- 標高2000m以上の山にも挑戦したい
なぜなら本格的な雪山では靴の暖かさも重要になります。
ところが暖かい冬専用靴を選ぶと、保温剤が封入されており、冬以外で使うには暑すぎるからです。
4シーズンの登山靴は選び方を間違えると器用貧乏になり、目的に合った登山靴が別途必要になりかねないので、本格的な雪山登山をしたい人は避けましょう。
本格的な冬靴については以下をご覧ください。
>>冬に使える雪山用登山靴のおすすめ 初心者向け格安モデル~ハイエンドモデルまで
4シーズン登山靴を選ぶメリット・デメリット
4シーズン登山靴を選ぶメリットは、1年を通して色々な地形で使用できることです。
また、季節によって靴を変える必要がありません。
一方で、4シーズン登山靴は重たくて高価なことが多いです。
また、アイゼンも使えるようにするため、靴底が硬く慣れるまで歩きにくいことがあるので注意が必要です。
最大のメリットは、1足で様々な山に挑戦できるので経済的ということ
4シーズン使える登山靴を使う最大のメリットは、1足で色々な山に行けるので経済的な所です。
夏はもちろん、春や秋、残雪期や夏の雪渓、また普通の登山道から岩場まで幅広く使うことができます。
冬山入門の山まで挑戦できる
登山に慣れてくると冬山も行いたくなることが多いと思います。
4シーズン使える登山靴は残雪期や冬の低山など、冬山入門の山にも挑戦できるので、別途高価な冬靴を買う必要がありません。
4シーズン用登山靴の選び方・評価基準
ここでは、4シーズン使える登山靴の選び方について記載していくので、選ぶ時の参考にしてくださいね。
グリップ力は高い方が良い
ソールのグリップ力は、できるだけ高いモデルを選ぶと良いでしょう。
ビブラム社のメガグリップなど濡れた路面にも強いソールがおすすめです。
登山は色々な路面があるのはもちろんですが、残雪期などは特に濡れた路面を歩くことが増えるので、選ぶ時はグリップ力の高さも意識すると良いでしょう。
重さは妥協が必要
4シーズン対応の登山靴を選ぶ場合は、靴の重さにはある程度の妥協が必要です。
多くの場合、革製でシャンクも硬くハイカットのモデルが多いからです。
その代わり作りがしっかりしているので、色々な路面で安定して歩くことができます。
選ぶ時は軽さよりも、しっかりとした作りの登山靴を選ぶことが大切です。
4シーズンを愛用する人はソールは硬めが良い
4シーズン対応の登山靴を選ぶ場合は、硬いソールの靴を選びましょう。
理由は、ワカンやアイゼンなどを取り付ける場合はソールが硬くないと外れてしまうことがあるからです。
やや歩きにくくなりますが、岩場はもちろん小屋泊やテント泊など、荷物が多い場合もソールの硬い靴は向いているメリットがあります。
アイゼンなどが取り付けられるか、を意識してソールの硬い靴を選ぶようにしましょう。
雪山登山で使う上で気を付けること
ここでは4シーズン対応の登山靴を、雪山登山で使う上で気を付ける事について記載していきます。
冬まで使用するならハイカット一択
冬山で使うのであればハイカットの登山靴を選びましょう。
雪が入りにくいのはもちろん、保温力も高くなります。
防水性が高いこと
4シーズン使う場合は色々な季節で使うため、ゴアテックスなど防水性の高い靴を選びましょう。特に冬山登山では、雪の上を歩くので防水性は必要不可欠です。
また、ゴアテックスには保温力が高くなる副効果もあります。
保温剤が入っていないので、足用のホッカイロは必須
いくらしっかりとした登山靴でも保温材が無いと、冬山では足先に寒さを感じることがあります。
そんな時に備えて、足用のホッカイロは必ず持参するようにしましょう。
ゲイターで雪の侵入を防ぐ
ゲイターも4シーズン対応の登山靴を雪山で使う場合はあったほうが良いでしょう。
雪が入らないのはもちろん、保温性も上がります。
アイゼンとの相性をチェックしておく
4シーズン対応の登山靴を選ぶ時は、アイゼンとの相性も見ておきましょう。
特にコバが付いたモデルでセミワンタッチ式のアイゼンを選ぶ場合は、ソールが柔らかいと外れてしまうことがあります。
また、靴の形状とアイゼンの相性によっては取り付けられないこともあります。
ベルト式のアイゼンはどんな靴にも取り付けられることが多いので、コバが付いていてもベルト式のアイゼンを選ぶのも一つの手です。
装着可能なアイゼンの種類を見ておく
アイゼンの取り付け方法には大きく3種類あり、ワンタッチ式とセミワンタッチ式、ベルト式のアイゼンがあります。
ベルト式以外のアイゼンは後ろ、または前後にコバと呼ばれるアイゼンを取り付けるための引っ掛かり部分が必要になるので注意しましょう。
また上記でも記載しましたが、コバがあってもベルト式アイゼンを取り付けることができるので、コバのことは気にせずベルト式のアイゼンを選ぶのもおすすめです。
おすすめの4シーズン用登山靴
ここではおすすめの4シーズン登山靴をまとめました。選ぶ時の参考にしてくださいね。
商品名 | ケントハイ ゴアテックス | スポルティバ トランゴタワーGTX | スポルティバ アルプエボGTX | スカルパ トリオレプロGTX | スカルパ シャルモプロGTX | モンベル アルパインクルーザー2500 | シリオ P.F.730 | ザンバラン ヴィオーズLUX |
カット | ハイカット | ハイカット | ハイカット | ハイカット | ハイカット | ハイカット | ハイカット | ハイカット |
重量 | 620g | 745g | 790g | 880g | 780g | 731g | 760g | 800g |
シャンクの硬さ | 硬め | 硬め | 硬め | 硬め | 硬め | 普通 | 硬め | やや硬め |
防水 | ゴアテックス | ゴアテックス | ゴアテックス | ゴアテックス | ゴアテックス | ゴアテックス | ゴアテックス | ゴアテックス |
ソール | ビブラム ヘキサテック | ビブラム キューブソール | ビブラム キューブソール | ビブラム ペンタックスプレシジョンXT | ビブラム ペンタックスプレシジョンXT | トレールグリッパー | ビブラム カモシオ | ビブラム 3D |
コバ | 後ろ | 後ろ | 後ろ | 後ろ | 後ろ | 後ろ | 後ろ | なし |
タイトル | 詳細を見る | 詳細を見る | 詳細を見る | 詳細を見る | 詳細を見る | 詳細を見る | 詳細を見る | 詳細を見る |
マムート:ケントガイドハイ ゴアテックス(Kento Guide High GTX)
ケントガイドハイ ゴアテックスは、アッパーは革製ですが620gと軽く作られた、マムートの本格的な登山靴です。
ゴアテックスなので防水性は高く、ソールにはビブラム社のヘキサテック、後ろにはコバもあるのでセミワンタッチアイゼンを取り付けることもできます。
ソールは硬めで、つま先には岩場で使いやすいクライミングゾーンもあります。
欠点の少ない、まさに4シーズン万能に使える登山靴です。
重さ :620g
カット :ハイカット
防水性 :ゴアテックス
タイプ :日帰り登山、小屋泊、テント泊、残雪期、初冬
ソールの硬さ :硬め
アイゼン着用種類:ベルト式 / セミワンタッチ
アッパー :スエードレザー
ソール :ビブラム ヘキサテック
スポルティバ: トランゴタワーGTX
トランゴタワーGTXは、スポルティバの万能シューズで、硬めのソールと柔らかめでフィット感の高いアッパーが特徴の登山靴です。
ソールは硬めのシャンクにビブラム社と共同開発したキューブソールが使われていて、しっかりした作りとグリップの高さがあります。後ろにコバが付いているのでセミワンタッチアイゼンの取り付けもできます。
アッパーは強度の高いファブリックを使っていて、フィット感が高いだけでなく、耐久性も高くなっています。
やや価格は高いですが、高性能でフィット感の高い4シーズン使える登山靴です。
重さ :745g
カット :ハイカット
防水性 :ゴアテックス
タイプ :日帰り登山、小屋泊、テント泊、残雪期、初冬
ソールの硬さ :硬め
アイゼン着用種類:ベルト式 / セミワンタッチ
アッパー :高強度防水ナイロン6.6+ハニカムガード+フレックス・テック3
ソール :ビブラム キューブソール
スポルティバ:トランゴ アルプ エボGTX
トランゴアルプエボGTXは、上記で紹介したモデルをレザーアッパーにしたモデルです。
レザーアッパーなのでより耐久性が高く、冬などアイゼンで踏んでしまってもより安全性が高くなっています。
ソールはトランゴタワーと同じくビブラム社製のソールに硬めのシャンク、後ろにコバ付きでセミワンタッチアイゼンも使うことができます。
トランゴタワーよりも重たい790gですが、耐久性も高く最強の4シーズン使える登山靴です。
重さ :790g
カット :ハイカット
防水性 :ゴアテックス
タイプ :日帰り登山、小屋泊、テント泊、残雪期、初冬
ソールの硬さ :硬め
アイゼン着用種類:ベルト式 / セミワンタッチ
アッパー :ペルワンガー社製防水レザー2.2mm+サブスキン・インジェクション
ソール :ビブラム キューブソール
スカルパ:トリオレプロGTX
トリオレプロGTXは、スエードレザーで丈夫で岩場などにも向いたビブラムソールを使った4シーズン使える登山靴です。
ソールはビブラム社のペンタックスプレシジョンXTを使い、岩場はもちろん排泥性が高いパターンなので3シーズンはもちろん、残雪期などもグリップ力高く使うことができます。
また、硬めのシャンクで後ろにコバが付いているので、セミワンタッチアイゼンを取り付けることができます。
やや重たいですが3シーズンはもちろん、残雪期や冬の低山も積極的に楽しむ方におすすめの登山靴です。
重さ :880g
カット :ハイカット
防水性 :ゴアテックス
タイプ :日帰り登山、小屋泊、テント泊、残雪期、初冬
ソールの硬さ :硬め
アイゼン着用種類:ベルト式 / セミワンタッチ
アッパー :スエード/シンセティックレザー
ソール :ビブラム ペンタックスプレシジョンXT
モンベル:アルパインクルーザー2500
モンベルのアルパインクルーザーは、レザーアッパーにゴアテックス、コバ付きのソールと3拍子揃ったコストパフォーマンスの高い4シーズン使える登山靴です。
ソールにはモンベルオリジナルのトレイルグリッパーが使われていて、グリップ力が高く後ろにはコバが付いているのでセミワンタッチアイゼンも取り付けることができます。
ソールが柔らかいので、セミワンタッチアイゼンの種類によっては外れてしまうかもしれないので、ベルト式のアイゼンにするのも良いです。
価格もリーズナブルで機能も十分なので、初めて購入する4シーズン使える登山靴としておすすめです。
重さ :731g
カット :ハイカット
防水性 :ゴアテックス
タイプ :日帰り登山、小屋泊、テント泊、残雪期、初冬
ソールの硬さ :普通
アイゼン着用種類:ベルト式 / セミワンタッチ
アッパー :ヌバックレザー
ソール :モンベルオリジナル トレイルグリッパー
シリオ:P.F.730
シリオのP.F.730は、日本人向けの足型で作られた、コストパフォーマンスの高いシリオのフラッグシップモデルです。
P.F.730は、3E+と幅広の日本人向けの足型で作られていて、排泥性の高いビブラムカモシオソールに、硬めのシャンクとコバが付いています。
アッパーはレザーとファブリックのコンビなので、靴が軽く760gとなっています。
モンベルとの違いはこちらの方がシャンクがやや硬くなっています。
シリオP.F.730も初めて購入する4シーズン使える登山靴としてや、軽いので女性にもおすすめです。
重さ :760g
カット :ハイカット
防水性 :ゴアテックス
タイプ :日帰り登山、小屋泊、テント泊、残雪期、初冬
ソールの硬さ :やや硬い
アイゼン着用種類:ベルト式 / セミワンタッチ
アッパー :ペルワンガ-・クロスタレザー+コーデュラナイロン+撥水加工済みナイロン
ソール :ビブラム カモシオ
ザンバラン:ヴィオーズ LUX GT M’s&W’s
ヴィオーズLUX GTは、歩きやすい歩行重視の4シーズン使える登山靴です。
やや硬めのソールですが、歩きやすいようにつま先部分が反った形状になっていて、パターンも現代的で歩きやすさとグリップ力が高くなっています。
また、防水性を高めるハイドロブロック加工がされたレザー製のアッパーに、ゴアテックスのライニングでとても高い防水性を持っています。
気を付ける点はコバが付いていないので、セミワンタッチ式のアイゼンは使えないところです。
やや価格は高いですが、それに見合う品質と機能性の高さを持った登山靴です。
重さ :800g
カット :ハイカット
防水性 :ゴアテックス
タイプ :日帰り登山、小屋泊、テント泊、残雪期、初冬
ソールの硬さ :やや硬い
アイゼン着用種類:ベルト式
アッパー :ハイドロブロック・フルグレインワックスドレザー(2.6~2.8㎜)
ソール :ヴィブラム 3D
登山靴が変われば挑戦できる山が増える
登山を続けていると色々な山に登りたくなるものです。
そうすると、岩場や木道、ぬかるんだ道など様々な路面に出会うと思います。
また、小屋泊やテント泊さらに冬山にも挑戦したくなるでしょう。
そんな時に4シーズン使える登山靴は、大きな力になってくれるはずです。
登山靴と合わせて見直すべき道具は?
ここでは登山靴と合わせて見直した方が良い道具について紹介します。
クッション性の高い靴下
靴下はクッション性の高い厚いものを履くことをおすすめします。
冬や寒い時期に保温力が高く活躍するのはもちろん、シャンクの硬い靴でも靴下のクッション性でカバーできます。
また、汗を吸い取りやすくなるので靴づれも起きにくくなります。
【おすすめの厚手靴下】登山の靴下選びを後回しにしたらどうなる?
テント泊装備
テント泊の装備も見直してみると良いかもしれません。
すでにテントを持っている人も、これから購入する人も、4シーズン使える登山靴を手に入れるのであれば、冬用の外張りが取り付けられるテントを選んでみましょう。
>>初心者でも大丈夫!! テント泊登山の始め方!! 必要な装備一覧
料理道具
4シーズン使える登山靴を購入するのであれば、長距離の登山や雪山でのテント泊も想定していると思います。
そうすると、食事はとても大切になります。
1日の疲れを回復させて、食事自体を楽しむため料理道具に凝ってみるのも良いでしょう。
>>山で作る料理「山ごはん」に挑戦しよう!必要な道具やおすすめレシ
コーヒーを淹れるための道具
料理道具と合わせて、コーヒーを淹れる道具をそろえてみるのも良いです。
特にテント泊など、星空を見ながらや朝日を見ながら飲むコーヒーは格別です。
まとめ
4シーズン使える登山靴は、幅広い期間使うことができる万能な登山靴です。
また、丈夫でしっかりした作りの靴が多いので、やや高価ですが長い間使うことができ結果コストパフォーマンスは高くなる傾向があります。
季節や天候を問わず、幅広い条件で登山ができることが最大のメリット。
注意点としては、重量がやや重く、夏場の暑い時期には不向きな場合があることや、硬めのソールであるため、柔らかい地面でのグリップが弱いことが挙げられます。
また、4シーズン登山靴は高価なため、初心者にとってはハードルが高いことも注意が必要です。
メリット・デメリットを理解した上で選ぶようにしよう!
みなさんも4シーズン使える登山靴を手に入れて、色々な季節の登山を楽しみましょう!
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