「表銀座ルート」と聞けば、その美しいアルプスの絶景と挑戦の醍醐味が頭をよぎります。槍ヶ岳への登山コースの中でも特に人気のあるこのルートは、高山植物の咲く魅惑のトレイルで多くの登山者を惹きつけます。
しかし、その絶景を楽しむためには、どの程度の難易度を覚悟する必要があるのでしょうか?
また山小屋での宿泊やテント泊といった選択肢がある中で、それぞれの魅力や注意点は何でしょう。
槍ヶ岳で撮影した夕焼けは、
私の登山人生でも忘れられない思い出です
これから、経験者の視点から表銀座ルートを詳しく解説し、安全で思い出深い槍ヶ岳登山のために知っておくべきポイントをご紹介します。
今回は皆さんの槍ヶ岳への挑戦に役立つ情報をまとめたので、ぜひ最後まで御覧ください
槍ヶ岳の難易度はやや高めで、泊り登山経験者向け
槍ヶ岳は北アルプスに位置する標高3,180メートルの山で、その鋭い尖峰から「日本のマッターホルン」とも称されます。登山道は岩場や鎖場が多く、技術的な難所が点在しています。
そのため、ある程度の登山経験や装備が求められます。
天候の急変もあり得るため、事前の準備と情報収集が重要です。初心者や体力に不安のある方は、ガイド付きのツアーに参加するなどの対策が推奨されます。
高いところが苦手な僕にとって、
最も難易度が高いと感じたのは山頂直前の長いはしごです
雨あがりは滑るので、槍ヶ岳山荘に泊まった上でベストタイミングに登るのをおすすめします
難易度は高いと言っても、山頂以外は体力さえあれば大丈夫
ただ泊り登山の経験はあった方がいいよ
槍ヶ岳を山小屋泊で登る人は山小屋泊の経験、テント泊で登るならテント泊の経験があった方が良いので、他の山で1日でもいいから練習してから挑んでみよう。
そもそも槍ヶ岳ってどんな山?
槍ヶ岳は長野県と岐阜県の境に位置し、その名前の通り、槍のように天高くそびえ立つ姿が特徴です。日本の名山の一つである槍ヶ岳は、後立山連峰に含まれ、多くの登山者を魅了してきました。ピーター・テイトやウォルター・ウェストンが登頂した歴史もあり、近代日本の登山文化においても重要な役割を果たしてきました。特にその山頂からの眺望は美しく、四方に広がる壮大な景色は、訪れる人々に感動を与えます。登山シーズンには多くの登山者で賑わいますが、静かな自然の中での時間を楽しむことができる場所でもあります。
槍ヶ岳に登るルートはどれも1~4日かかる
槍ヶ岳の注意点として、『めちゃくちゃ人気なので連休は渋滞する』と言うことがあげられます。
例えば、槍ヶ岳山荘から山頂まではコースタイム20分ですが、激混のときは1~3時間かかることもありえます。だからこそ弾丸登山はおすすめできません。
渋滞がないのは悪天候くらいです。雨の時に日帰りで登頂、下山した人はいましたが、楽しめなかったから後悔していると言っていたので、避けた方が良いでしょう。
満足度が最も高いのは、自由時間を持つ3~4泊のプランなのです。
主要ルート一覧
①槍沢コース
1日目 上高地バスターミナル〜槍沢ロッジ
2日目 槍沢ロッジ〜槍ヶ岳山荘〜槍ヶ岳山頂
3日目 上高地へ下山
②飛騨沢コース
1日目 新穂高温泉〜槍平小屋
2日目 槍平小屋〜槍ヶ岳山荘・山頂
3日目 新穂高温泉へ下山
③表銀座縦走コース|圧巻!北アルプスのパノラマ大縦走
1日目 中房温泉〜燕岳・燕山荘
2日目 燕山荘〜大天井ヒュッテ〜ヒュッテ西岳
3日目 ヒュッテ西岳〜槍ヶ岳山頂
4日目 下山コース
④西鎌尾根コース|お花畑を堪能できる、和みの山歩き
1日目 新穂高温泉〜双六小屋
2日目 双六小屋〜槍ヶ岳山頂
3日目 下山コース
槍ヶ岳登山に必要な装備
槍ヶ岳登山を成功させるためには、適切な装備が不可欠です。
まず基本となるのは、しっかりとした登山靴と防水性のあるレインウェアです。
登山靴は縦走用のちょっとしっかりめの靴が必要です。
もしハイキング用しか持っていない人は買いたそう
レインウェアは軽量化できるなら軽いものにしましょう。
登山靴と違って予算がなければ今使っているものでも大丈夫です
加えて、気温に対応できるフリースやダウンジャケットも忘れずに。
ヘッドランプや地図、コンパスは安全なルート確認に必須で、予備のバッテリーと飲料水はどんな場合にも必要です。
たまに槍ヶ岳登りたいって言ってるのに、
ヘッドライトを持っていない人を見かけます。
頻度は少なくとも必須装備なので、用意しておきましょう
>>登山用ヘッドライト(ヘッドランプ)の用途別おすすめランキング
また、登山中にエネルギーを補給できる軽食や非常食も準備しておくことをお勧めします。
一番のおすすめは、王道の表銀座ルート
槍ヶ岳を目指す多くの登山者にとって、表銀座ルートは最も人気のある道のりです。このルートは、はじめての方でも挑戦しやすい上に、息をのむほど美しい景観を楽しむことができるためです。
特に、雄大な山々のパノラマを望むことができるからです。
トレイルは整備されており、山小屋も豊富にあるため、長い工程でも安心して進むことができます。もちろん、注意深く計画を練り、安全第一で臨みましょう。
前日 穂高駅前の穂高神社駐車場~中房温泉宿泊
マイカーの場合は穂高駅前の穂高神社、登山者用の駐車場を利用します。中房温泉まではマイクロバスがでていますので、バスでアクセスします。
公共交通機関利用の場合は、穂高駅からバス乗り場へアクセスします。
(代行運転依頼もありますが、駐車場利用してタクシー使った方が安いです)
【前日】
名古屋出発(10:00)・・・穂高神社(13:00)・・・駅前蕎麦屋でお昼・・・中房温泉 (16:00)
【1日目】
中房・燕岳登山口(04:55)・・・第2ベンチ(06:12)・・・合戦小屋(08:11)・・・燕山荘(09:50)・・・大下りの頭(12:29)・・・切通岩(14:00)・・・大天荘(14:41)・・・大天井岳(15:50)・・・大天荘(16:20)
【2日目】
大天荘(05:11)・・・大天井ヒュッテ(06:10)・・・ヒュッテ西岳(09:05)・・・水俣乗越(10:55)・・・ヒュッテ大槍(13:03)・・・槍ヶ岳山荘(14:11)
【3日目】
槍ヶ岳山荘(04:45)・・・槍ヶ岳(05:23)・・・槍ヶ岳山荘(06:15)・・・槍ヶ岳殺生ヒュッテ(07:09)・・・グリーンバンド(07:39)・・・天狗原分岐(08:27)・・・水俣乗越分岐(08:41)・・・ババ平(09:02)・・・槍沢ロッヂ(09:25)・・・一ノ俣(10:03)・・・横尾(10:43)・・・徳沢(11:47)・・・明神(12:34)・・・河童橋(13:15)
タクシーで穂高駅へ
穂高駅(15:00)~温泉(16:00)~名古屋(21:00)
1日目 中房温泉〜燕岳・燕山荘
燕岳登山口→(90分)第二ベンチ→(80分)合戦小屋→(90分)燕山荘
初日は中房温泉からスタートし、美しい高山植物が広がる稜線を目指します。
私が登った時は稜線に出た瞬間に雲海が広がっていました。
特に燕岳は絶景を楽しむには最適な場所で、この区間は比較的ハイキング感覚で登れます。
地元の子供たちが学校登山で登る人気の山です
夏場であれば中腹にある合戦小屋でスイカが食べられます。
燕岳の山頂にはイルカの形をした岩やメガネの形をした岩があるので、撮影スポットとして人気です。
燕岳を越えて到達する燕山荘は、一日目の宿泊地となり、快適な寝床と温かい食事を提供してくれます。
この宿泊施設は、翌日の登山に備えてしっかりと体力を回復させるのにぴったりの場所です。何よりご飯が美味しくて山小屋なのに綺麗です。
山頂でこんな美味しいケーキが食べられるとこはなかなかないです
2日目 燕山荘〜大天井ヒュッテ〜ヒュッテ西岳
二日目は、夜明けの美しい景色を堪能した後、燕山荘を出発します。
この日最初の目標は大天井岳で、その頂からは立山連峰や後立山連峰などの壮観なパノラマビューが待っています。
好きな個人的な稜線ランキングで
大天荘から振り返る景色も入ってます
大天井ヒュッテで休憩を取り、昼食を食べた後は、表銀座ルートを進み、ヒュッテ西岳へ向かいます。
程よい登山道ですが、疲れが出始める頃には、快適なヒュッテ西岳に到着することで休息をとることができ、翌日に備えます。
3日目 ヒュッテ西岳〜槍ヶ岳山頂
三日目は早朝からの行動開始が求められます。この日、登山のハイライトである槍ヶ岳山頂を目指します。
険しい箇所も多く、慎重な足取りが求められるので、これまで以上に集中力を持って進みましょう。
大天荘→(30分)大天井ヒュッテ→(230分)水俣乗越→(130分)ヒュッテ大槍 →(50分) 槍ヶ岳山荘
上のコース図を見るとわかりますが、槍ヶ岳周辺は×印だらけです。この印は遭難事故現場を意味しています。50代~80代の方が滑落・転倒されています。
転倒時に頭を守るためと、梯子が連続するので、落石を避けるためにヘルメットは着用しましょう。
>>おすすめの登山用ヘルメット 初心者向け、軽量登山向けなど 厳選11選+おまけ
ヒュッテ大槍付近は、雪が残ることも多いです。
私の祖母は80年くらい前にここで骨折したそうです。
特に下山の時は注意してくださいね
槍ヶ岳山荘から見ると、山頂はもうすぐそこです。混雑時は山荘の前まで登頂者の列が渋滞で並びます。
槍ヶ岳山荘を経由してから頂上へ向かう最後のアプローチは特にスリル満点です。山頂に立つと、360度の大パノラマが広がり、登山の苦労が一瞬で報われます。
この絶妙な景色は、忘れられない思い出となるでしょう。
槍ヶ岳山頂ではしゃいで、下りたとこで撮った夕焼けは一生忘れません
4日目 下山コース
最終日は、登山の疲れを癒しつつ慎重に下山します。
槍ヶ岳からの下山ルートは、事故を防ぐために大変注意が必要です。
山を降りる際には、計画通りの時間内に下山することを意識し、天候の確認をこまめに行います。途中の山小屋で休憩を挟みつつ、ゆとりを持った行動を心掛けましょう。
下山すると、登山の達成感とともに温泉で疲れた体を癒すことが待っています。
私の場合は上高地で山賊焼き定食を頂きました。食堂は登山帰りの客でザックが山積でした。
まとめ
表銀座ルートを通る槍ヶ岳登山は、初心者から経験者まで幅広い登山者に魅力的な体験ができます。
このルートは、山頂からの壮大な景色を楽しむことができ、多くの山小屋やテント泊の選択肢があるため、自分のペースで安心して挑戦できます。
標高の高さや天候の変化に対応するために、準備と装備をしっかり整えて出発することが重要です。事前の計画に時間をかけることで、素晴らしい山旅を楽しむことができるでしょう。
水分補給やエネルギー補給についても十分に考慮し、余裕を持った行動を心掛けることが成功の鍵です。
表銀座ルートは美しい景観が広がる一方で、慎重な行動が必要な箇所も存在します。無理をせず、自然の中でのひとときを楽しみつつ、安全第一で登山を楽しんでください。
登山後には、頑張った自分へのご褒美として近隣の温泉でリラックスするのもおすすめです。
下山後の温泉は日焼けが痛いのに、
嬉しい気持ちでいっぱいでした
僕が登山にここまではまりこんだきっかけとなったのが、槍ヶ岳への挑戦でした
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