クライミングの装備って何が必要なのかな?
登山と併用できるものも、そうでないものもありますね
クライミングの装備は安全規格をチェックしたり、安全性の高いものを選択するようにしよう
・クライミングに必要な装備がわかる
クライミングの魅力
スポーツクライミングがオリンピック種目に追加されたことで近年の注目もますます高まっています。
登山を続けていると、ただ登るだけでは満足できなくなってクライミングを始める人も多いですし、反対にクライミングに興味をもって登山を始める人もいます。
今回はそんなクライミングを始めるにはどんな装備が必要かまとめています。海外で登山ガイドをされていた方に聞いてみました。
既にボルダリングジムで一通りの技術を身に着けた人を対象としていますので、まだボルダリングをしたことがない人は先にボルダリングの始め方を覚えましょう。
クライミングに必要な装備
クライミングは実際に現場に行ってみないと、自分の登攀(とうはん)でどれだけ装備が必要かはわかりにくいです。
慣れないうちは過剰気味に用意して、慣れてきたら最小限にすると良いでしょう。
アプローチシューズ
岩場への取り付きには登山靴も使えますが、アプローチシューズが便利です。
クライミングシューズ
まだクライミングをはじめたての初心者の方はスタンダードなタイプのシューズを選ぶようにしましょう。
つまり、ベルクロタイプでソールがフラット、かつつま先が極端に親指に向かって流れていないものがおすすめです。
近年クライミングシューズを作るメーカーはたくさん出てきていて、中にはデザインのかっこいいものがあります。
また、クライミングを始めると憧れでどうしてもシューレースタイプのものやダウントゥ(ソールが下に向かってそっているタイプ)のものを選びがちです。
このような場合はたいてい失敗します。
初心者の方はクライミングシューズの特殊な形状にまずは慣れる、そして足裏の感覚をしっかり育てることがとても大切です。
クライミングをはじめたての頃は上達に苦しむのが当たり前。
初級(8~10a、b、c)の中を行ったり来たりが普通だと思います。
そういった中でまずはガンガン使えるシューズでどんどん登って、とにかくクライミングの感覚をつかむ。これが一番大切なことです。
クライミング グローブ(ビレイグローブ)
クライミンググローブに関しては必ず必要というものではありません。
しかしながら、ビレイヤー、つまりロープを繰り出していく人、はクライマーが墜落した時などロープをつかんで制動をかけなければいけないため、手に極度の摩擦がかかります。
その場合、手を保護する意味でグローブは必要です。
人によっては、ホームセンターで売っているような皮手袋で代用する人もいるので、買うのであれば必ずしもクライミングメーカーのものである必要はありません。
クライミングロープ
クライミングロープに関しても、最も凡庸的なシングルロープを選びましょう。
クライミングをはじめたての頃はクライミングジムや近くの岩場に行くことが多いかと思います。
その場合軽量化については考える必要がなく、重さがあっても強度がある10ミリ以上の太さがあるロープが望ましいです。
墜落することも多いでしょうし、その分ロープが擦れることも多いかと思います。
このような場合強度があり、耐久性のある上記のようなロープが適切でしょう。
また、多くのクライミングロープがUIAA安全規格に適合しています。
適合していれば、間違いはありません。
メトリウスのグローブは使い始めは硬いですが、耐久性が高く長く使えます。
クライミング用ハーネス
ハーネスは各メーカーデザインの違いはあれ、性能についてはさほど大きな違いはありません。
あえて言うなら、ウエストベルトやレッグループが太めのものがいいと思います。
墜落した際、腰や太ももにベルトやループが食い込みます。
その場合、各部位が細めだと食い込みも激しくなるので、最初は太めのものを選ぶと痛みも軽減されます。
クライミングのヘルメット
ヘルメットに関しても、各メーカーの違いはなく、UIAAの規格に適合していればいいでしょう。
ただし、重さには注意。
値段が高いものだと素材にもこだわっていて、重量が軽いものがあります。
クライミングにおいて、頭のバランスは重要なので、値段が少し張っても、ヘルメットは軽めのものを選びましょう。
ヘルメットのおすすめモデルは以下をご覧ください。
クライミングで使うカラビナ
カラビナについても各メーカーで大きな違いはありません。
まず購入するのであれば、HMS型の安全環付きのカラビナが3~4つ。
これはビレイをする際にハーネスとビレイデバイスをつなげる時に使うカラビナが一つ。他はクライマーが登り切った際に、支点を作るのに使います。
また、安全環がないタイプのものが数個あれば、何かと使う時があるので、便利です。
ただし、クライミングはパートナーがいて成り立つスポーツ。
パートナー同士で道具を共有するので、それぞれがたくさん持っておく必要はありません。
また、くれぐれもアクセサリー用のカラビナを購入しないように気を付けましょう。
クラッシュパッド
外壁で登る場合にクラッシュパッドというマットを使うと快適に過ごせます。
チョークバッグ
クライミングでも体操選手がよく使うような白い粉、炭酸マグネシウムを使います。
これを入れておくのがチョークバッグ。
手が汗で濡れると滑って登れません。
チョークバッグは自分が好きなデザインのものを選んで購入しましょう。
ビレイデバイス
ビレイをする際にはビレイデバイスが必要です。
クライマーが墜落した際その墜落を食い止めるための器具です。
ビレイデバイスは各種ありますが、2つ穴が開いているタイプにしましょう。
こちらは懸垂下降する際にも使えるので、初心者がクライミングを勉強する際にはとても大事なものになります。
ビレイデバイスの比較とおすすめモデル
ブラックダイヤモンド ATCガイド
最も一般的に使われるのが、このモデルになります。
「ATC」というものもありますが、「ATCガイド」は最初のクライマーが登って終了点で支点作ったあと、フォローワーが登るときの確保にも使えます。
リードクライミングやマルチピッチクライミングを後々やりたいと考えている人にはオススメです。
操作性などもよく研究され作られているので、初心者にも使いやすいものとなっています。
ペツル ルベルソ
ペツルの人気モデルです。
上記のブラックダイヤモンドのビレイデバイスと同じように、セカンドクライマーの確保ができます。
さらに、セカンドクライマーが墜落して、ロープがビレイデバイスに強く噛んでしまったとき、それを緩める機能もついています。
初心者向けというより、より高いレベルを求めたい人にオススメです。
ルベルソ5は細いロープも使用できて便利。
マムート Nordwand Alpine Belay
マムートから登場した新しい形のビレイデバイスです。
基本的な機能は上記のものと変わりませんが、操作性や制動力といったところで優れています。
軽量でありながらより頑丈な作りをしています。
さらに、従来のビレイデバイスは制動がかかると熱くなり、熱に弱いロープにはよくありませんでした。
このビレイデバイスは使用している素材のおかげで、熱に弱いロープでも使い易くなりました。
より安全で信頼できるデバイスを求めている人にはオススメです。
ビレイデバイスの使い方
クライミングは通常2人1組で行います。
クライマー(登る人)とビレイヤー(クライマーが落ちないようにロープをコントロールする人)の2人となります。
ビレイヤーがロープをコントロールするときに使う器具のことをビレイデバイスといいます。
ビレイデバイスを使ってロープに制動をかけ、クライマーが墜落しそうになると、それを阻止します。
まさに命を守る道具。
ビレイデバイス無しではクライミングはできません。
そんなビレイデバイスを使う時は、クライマーとビレイヤーはロープでお互いをつなぎます。
そしてビレイヤーはビレイデバイスにそのロープを通し、ハーネスにつけます。
クライマーが登っている最中はその動きに合わせてロープを繰り出していきます。
墜落しそうになったら、素早くビレイデバイスを通して制動をかけます。
リードクライミングやトップロープクライミングによってロープの通し方やロープの操作の仕方が違うのでジムで教わったり、本で勉強するようにしましょう。
クイックドロー(ヌンチャク)
クイックドローは、ヌンチャクともいいます。
これはクライマーが登る際、途中で支点を作っていく時に使います。一般的な数は4~6個。
沢登りなどでは8~10個ほど使うこともあります。
初心者であれば、教えてくれる人がいるので、その人のものを共有させてもらえばいいでしょう。
必ずしも購入する必要はありません。
プロテクション類は共同装備としてあると良いです。
パーソナルアンカーシステム
衝撃吸収性能が高いものが推奨されています。
スリング
スリングは様々な場面で使えるのでとても便利です。
足場の悪い場面でビレイヤーが体を確保する際に使ったり、クライマーが支点を作る際にも使えます。
ただし、初心者の場合このような場面はあまり考えられないので、60㎝と120cmそれぞれを1~2本そろえておけば十分です。
ケブラー製の高強度のものが人気ですが、各素材を掛け合わせた濡れにも摩擦にも強いものなど各社工夫された商品があります。
クライミングアッセンダー(登高器)
急な斜面でもより安全に登りやすくするならアッセンダーがあると便利です。
ハーケン
ハーケンは打ち込む場所や打ち方があり、かなりの技術が必要になります。
初心者は基本的にハーケンは必要ないでしょう。
また、ハーケンが必要なルートに行く場合には必ず経験者に同行してもらいましょう。
クライミングの際の服装
基本的な服装は登山と同じです。
クライミングの場合、大きく手を伸ばしたり、足を上げたりする場面があるため、伸縮性のあるウェアを選ぶといいでしょう。
クライミング技術の習得方法
クライミングジムでのボルダリングでの習得が一般的です。
クライミングをしたいと言ってもいきなり自然の岩壁を登るのは危険です。
クライミングジムで基本的な技術は覚えておきましょう。
目安として初心者がまず勉強しなくてはいけないことは、基本的なルールやマナー、ギアの名前、ロープワーク、登り方、ビレイの仕方です。
基本的なルールとは、例えば、声かけ。登り始めるときには「登ります!」とか、落ちるときには「フォール!」など、ビレイやーとのやり取りをしっかりとることです。
また、マナーとは、他人が登っているすぐ下を登らない、とか、ルートを大きく外れてほかのルートに入り込まない、などです。
ギアの名前は、上に挙げたようにハーネスやビレイデバイス、ヌンチャクなどになります。
パートナーに「これ取って!」など言われてすぐわかるようにしっかり覚えましょう。
ロープワークとは例えば、エイトノットなどになります。基本的なものはジムでしっかり覚えるようにしましょう。
外岩に出るとさらに多くのロープワークが必要で、状況による使い分けの判断もしっかりできるようにならなくてはいけません。
登り方とは、足の置き方、手のかけ方、バランスのとり方、そして落ち方などになります。
なにも勉強しないまま外岩に出て、変な落ち方をすると大けがにつながります。
また、周りの人にも迷惑をかけますので、しっかりジムで勉強するようにしましょう。
ビレイはロープの出し方や墜落した際の制動のかけ方などになります。
パートナーとしてクライマーの命を預かっているといっても過言ではありません。
しっかり勉強してから、外岩に出るようにしましょう。
岩壁での練習
外岩に出たいと思ったら、パートナーや教えてくれる人を探さなくてはいけません。
見つけ方は、
・クライミングジムで知り合う
・ネットで知り合う
・山岳会に入る
・個人の山岳ガイドに教えてもらう
・いきなり外岩に行って、「教えてください」と頼む
などです。
クライミングは意思疎通やコミュニケーションが大事なスポーツなので、話してみて自分の気に合いそうな人とタッグを組むようにしましょう。
クライミングジムでは初心者向けの外岩講習もやっていますので、とても便利です。
また、もっとがっつり外岩をやりたいという人は山岳会に入るのがおすすめです。
いきなり外岩に行って頼むのは、ちょっと迷惑がられるかもしれませんが、山の人は基本的に心の広い人が多いので、勇気のある人は試してみてください。
外岩でのクライミングはジムとは全く違います。
例えば、天候や環境によってクライミングそのものが大きく違ってくる。
岩質も場所によって全く違う。
支点がしっかりしていないところがあったり、落石があったりなど、危険度が全然違う、などになります。
基本的には経験豊富な人の助言を聞いて、少しずつ外岩のクライミングに慣れていきましょう。
冬のクライミング
冬のアイスクライミングは夏とは異なる技術が必要になります。
八ヶ岳の赤岳鉱泉では、体験ができるので、ぜひ訪れてみましょう。
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