あなたは山奥で携帯電話が圏外となり、連絡に困ったことはありませんか?
奥深い山に立ち入る方は何かあったときに連絡できないのは不安になることも多いと思います。
今回はそんな状況化でも連絡がとれる無線機の活用についてお伝えします。
無線機の使うメリットからどんなモデルがおすすめなのか、資格保有者の監修の下、「登山におすすめな無線機」をご紹介いたします。
今回は私自身は無線技士の資格を持っていないので、
資格保有者の監修のもと、まとめています。
この記事の監修アマチュア無線技士:カタオカさん
他にも看護師・保健師・保育士・衛生管理者・養護教諭・自動二輪などの免許保有する資格マイスター
ブログでは免許の取得方法や便利なガジェット情報など 「みんなのお役に立つ情報」 を発信しています。
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先に結論を言うと、
アマチュア無線技士の資格があるなら、アマチュア無線。
資格不要で選びたいなら簡易無線がおすすめです。
この記事の結論
・免許不要の無線を使うなら、デジタル簡易無線(申請必要:中距離)が
特定小電力トランシーバー(申請不要:近距離)
L「特定小電力トランシーバー」アルインコ:DJ-P221M
・免許必要な無線を使うメリットは、利用者の多さ
L八重洲無線:FT-65
登山で無線機があると何ができる?
山小屋にアマチュア無線が置いてあるため、連絡が取りやすい
特定小電力トランシーバーの場合はレジャー利用が認められていますが、出力が0.01Wと弱く、通信できる範囲が好条件下でも1kmほどと、限定された距離での利用しかできません。
しかしアマチュア無線は10W〜20Wの出力が認められており、条件が整えば海外との通信も可能です。それでいて通信の相手が身内の無線局に限定されておらず、広く日本中、あるいは世界中に存在する見知らぬ無線局と自由な無線通信が認められています。
山でも特定小電力トランシーバーでは絶対に届かない範囲でもアマチュア無線機なら通信範囲が広く、たとえ山の中でも携帯電話の電波が来ていなくても連絡が取れるようになります。
パーティで連携を取ることができる
広く日本中、あるいは世界中に存在する見知らぬ無線局と自由な無線通信が認められていると先ほど書きましたが、パーティがアマチュア無線機を持っていると本当に広い範囲で連携を取ることができます。
特定小電力トランシーバーももちろん技術の発達により通信範囲も電波も安定はしてきていますが、いざと言うときには出力の大きいアマチュア無線機の方がパーティとの連携は取りやすいです。
無線機の種類は複数あるが、簡易無線機が一番人気
登山で最も使い易いのは、免許が不要で広い距離で利用できる簡易無線機と言えます。
ただ登録申請料と利用料がかかるので、
登山頻度が少ない方は特定小電力トランシーバーもおすすめです。
特定小電力トランシーバー(無線機)⇒◎他でも扱える近距離用(200~1000m)
IP無線機 ⇒×携帯電話の回線使用のため、登山ではNG
簡易無線機 ⇒◎誰でも扱える中距離用(1000m~5000m)
登録申請料と電波利用料が必要
業務用無線機 ⇒×企業や団体で申請が必要。一般登山者が使うことはない
手軽に扱える免許不要の無線機
特定小電力トランシーバー(無線機)
特定小電力トランシーバーの特徴は次の通りです。
・近距離専用(一般的には200〜300m、好条件下では1km)
・建物や壁など遮蔽物の影響を受けやすい
・免許や登録が不要なので誰でも簡単に取り扱える
スキー場で仕事をしていたこともありますが、
大会の運営では特定小電力トランシーバーを使うこともありました。
昔は携帯の電波が通じない地域も多かったので、仲間内で複数台で出かける時にも使えました。
IP無線機
IP無線機は携帯電話網のパケット通信機能(携帯電話のインターネット回線)を利用し音声を符号化し圧縮して通信を行う仕組みです。
特定省電力無線やアマチュア無線は無線機から発射された直接の電波を利用します。
つまり、無線機の通信距離は無線機の能力や周囲の環境よって異なってきます。
一方、IP無線機は携帯電話のネットワークを利用することによって北海道から沖縄まで、日本全国の携帯電話エリア内で利用することができます。
携帯電話のネットワークが必要なので、
山の中で使うならおすすめできないですね。
デジタル簡易無線機
2008年より利用できるうようになった新しいタイプです。
免許資格不要のタイプですが総務省(管轄の総合通信局)へ無線局の登録申請が必要です。
登録申請料・・・¥2,300/台 ※2台以上の包括登録の場合¥2,900
電波利用料・・・¥400/台 ※毎年
申請は必要ですが、免許が不要なので仲間内で共有することもできます。
稜線上なら10km届くこともあるそうなので、資格必要な無線機に劣らない性能です。
※他の人に貸し出す場合は、無線局の運用の特例に係る届出書を所轄総合通信局に提出
以下の記事より、2022年12月1日から使えなくなる?と焦りましたが、アナログ簡易無線のみのようなので、影響はなさそうです。
中距離まで対応できる免許必須となる無線機
免許が必要で中距離まで対応できる無線機で一番手軽なのが「アマチュア無線」です。
昔からの名残で「アマチュア」という名前がついていますが、一定の周波数や送信出力以上の無線局を許可なく使用すると、消防無線や救急無線を妨害し、消防・救急活動に重大な支障を与えたり、列車無線を妨害し、列車の正常な運行を困難にしたりする恐れがあります。
ですので安全な電波の取り扱いのため、そして通信距離の広げるためにアマチュア無線の免許を取得する人も少なくありません。
業務用無線機
警察や消防の方、またはタクシーに乗ったときに運転手の人が無線機を使ってやりとりをしているのを、一度は見たことがあるかと思います。 あのような、業務上で使われる無線機のことを「業務用無線」といいます。
業務用無線を使う会社は、業務内容に応じて「無線従事者免許」をもっている人を配置したり、使用する企業や団体名義で免許申請が必要な場合があります。
明確にプライベートか仕事かで切り分けできる場合はよいですが、実際に使用する際にはどちらが適切であるか判断が難しいケースがあります。
例えば、会社で開催するイベントやスポーツ大会などで使う無線機については、基本的に業務無線の中の簡易無線で行うのが一般的です。
一般の方が業務無線を使う機会はほとんどないと言って良いでしょう。
簡易無線機が最も多く、よりお手軽に使いたい方のみ「特定小電力トランシーバー」を選ぶことが多いのです。
企業だけでなく、団体レベルでイベントを主催するケースでも、アマチュア無線で運営の連絡を取り合うのは違法となるのです。
逆に、個人でサバイバルゲームを楽しみたい場合などは、基本的にアマチュア無線機を利用することになります。
無線機には資格が必要なものもある
アマチュア無線技士の資格が必要なものと要らないもの
特定小電力無線は資格が必要なく誰でも取り扱うことができます。ただし、電波の出力が弱く(0.01W)中長距離の通信には不向きです。
簡易無線機も免許資格は不要ですが総務省(管轄の総合通信局)へ無線局の登録申請が必要です。
登山におすすめの無線機
資格なしで誰でも扱えるもの
「特定小電力トランシーバー」アルインコ:DJ-P221M
アルインコのDJ-P221Mは、特定小電力トランシーバーであり、以下のような特徴があります。
• 防浸型で47ch中継対応
• マルチ・チャージャーにより複数を一度に充電可能
• オプションアクセサリーが豊富に用意されており、用途に合わせて選べる
• コンパンダー機能により無通話時のかすかなノイズを除去可能
• デュアルオペレーション機能によりPTTの押し方で2つのチャンネルを切り替えられる
「デジタル簡易無線」ケンウッド:トランシーバー TPZ-D563BT
ケンウッドのトランシーバーTPZ-D563BTは、デジタル簡易無線機であり、Bluetoothに対応しています。
このモデルは、薄型設計であり、資格不要で簡単な登録手続きだけで使えるため、業界トップクラスの人気を誇っています。
また、30チャンネルを備えており、最大通話距離は1000メートルです。
さらに、防水性能も備えているため、屋外での使用にも向いています。
「デジタル簡易無線」アイコム:IC-DPR6
ICOM IC-DPR6は、アイコム製のデジタル簡易無線登録局であり、5Wの出力を持ちます。
IC-DPR6#12は抗菌・抗ウイルス加工がされており、衛生的な使用が可能です。
また、IC-DPR6は復刻版として再発売された人気機種であり、業務用トランシーバーの復刻販売として珍しいものなんです。
資格が必要なもの:アマチュア無線機
八重洲無線:FT-65
FT-65は、八重洲無線が販売する144/430MHz帯のデュアルバンドFMトランシーバーで、コンパクトなサイズにもかかわらず、安定した5Wの送信出力と1Wの大音量を備えています。
また、IP54相当の防塵・防水性能やMIL-STD-810C/D/Eをクリアする堅牢性も特徴です。
さらに、簡単な操作性や使いやすさも兼ね備えており、アマチュア無線通信を楽しむことができます
重さ:約260 g (電池パック SBR-25LI、アンテナを含む)
八重洲無線:VX-6
使用条件:アマチュア無線技士免許4級
八重洲無線:FT-818ND
使用条件:アマチュア無線技士免許4級
番外編:衛星電話という選択肢
無線機に拘らないなら衛星電話という選択肢もあります。
ただこちらの方が高額なので、よほど高頻度でソロ登山をする人以外は、
不向きです。
ただソロ登山が多い方は確実に連絡がとれる衛星電話の方が向くこともあるので、自分にあったものを選びましょう。
SoftBank提携:スラーヤの衛星電話
高い壁などにさえぎられていなければ、ほとんどの場合で通信がつながる衛星電話です。
選ぶメリットは他の衛星電話に比べて安いことですが、KDDI のイリジウム衛星電話やdocomoのインマルサットに比べると電波は弱いです。
これはスラーヤが静止衛星を利用しているのに対して、KDDIやdocomoでは複数の衛星を利用していることが理由となります。
絶対電波がないと不安という方以外は、スラーヤの衛星電話で十分だと思います。
かかる費用は本体代+4,900円/月
docomo提携:インマルサット衛星電話
docomoの衛星電話とKDDIの衛星電話はどちらもGPSが利用できる環境なら使用できます。
登山中でもGPSが使えないという場面はよほどないと思いますので、理論上どこでも通話可能という最強の衛星電話です。
その分値段もずば抜けているので、予算と相談して選ぶようにしましょう。
KDDI :イリジウム衛星電話
まとめ
特定小電力無線機は資格が必要なく誰でも取り扱うことができます。ただし、電波の出力が弱く(0.01W)中長距離の通信には不向きです。
しかし、近場の山登りや には気軽に扱うことができるのでおすすめです。
簡易無線機も免許資格は不要ですが総務省(管轄の総合通信局)へ無線局の登録申請が必要です。
ただ、無線局の登録申請が必要な分、特定省電力無線機に比べると電波も安定しており、特定小電力トランシーバーと比較して広範囲のエリアで安定した無線通信を行うことが可能です。
通信距離はおおよそ1㎞から5㎞で、見通しが良いところであれば10㎞程度離れた場所でも通信できる場合があります。
IP無線機は携帯電話のネットワークを利用することによって北海道から沖縄まで、日本全国の携帯電話エリア内でとても安定して利用することができます。
ただ、逆にいうと携帯電話の電波が来ていないところでは使用できません。
アマチュア無線は10W〜20Wの出力が認められており、条件が整えば海外との通信も可能です。
山でも特定小電力トランシーバーでは絶対に届かない範囲でもアマチュア無線機なら通信範囲が広く、たとえ山の中でも携帯電話の電波が来ていなくても連絡が取れるようになります。
免許を取らなければ使えませんが、逆に免許さえ取ってしまえば一番優れた通信方法と言えます。
アマチュア無線の免許は約5,000円で受験でき、出題内容としては、無線工学と法規について出題されます。それぞれ、12問ずつ(計24問)4択のマークシート方式で出題されます。各科目で8問正解すると合格です。
ですので、少し勉強をすれば4級アマチュア無線免許に手が届くと思います。
最近では、ドローンの操縦に必要な電波帯だったり、大災害時の唯一の通信手段としてアマチュア無線が見直されてきています。
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