モンベルの寝袋って種類が多くてわかりにくい
一口にモンベルの寝袋と言っても、対応温度や重量・形状・中綿素材・値段・羽毛のかさ高などで違いがあり、たくさんの種類があります。
寝袋は、使用する季節や場所・持ち運びの有無・予算などで、選び方が変わってきます。
ここでは、モンベルのダウンハガーの種類や特徴と、それぞれどんなシーンで効果を発揮するかをご紹介していきます。
ダウンハガーとアルパインダウンハガーの違い
ダウンハガーとアルパインダウンハガーはストレッチ性に違いがあります。
ダウンハガーが135%の伸縮率に対し、アルパインダウンハガーは120%と、前者のほうがストレッチが良く利きます。
その分、使用する生地やジッパー・ゴムの量がダウンハガーは増えるので重量が増え、収納サイズも多少大きくなりますが、スペックの差異はありません。
しかし、この伸縮率と使用者の体の大きさによって、快適度が変わってきます。
その基準となるのが「寝袋に入ったままあぐらがかけるかどうか」です。
あぐらをかけるくらいのストレッチがないと、寝返りや袋に入ったまま調理がしにくくなるなど、行動に制限がでてくるため、ストレスを感じる方もいるでしょう。
したがって、寝袋に入っていても快適性を求めるなら、ダウンハガーをおすすめします。
身長175㎝でも、寝袋に入ったままあぐらをかくことができています。
170㎝以下の身長や女性の方であれば、アルパインダウンハガーでも問題ないかとはおもいますが、ストレッチ性が高い方が快適性が高いので、ダウンハガーを選んでおけば間違いないでしょう。
私自身、身長166cmですが、ストレッチ性が高いダウンハガー800 #3をハイシーズンに使用しています。
補足ですが、シュラフカバーにはストレッチがほぼありません。
ダウンハガーでもシュラフカバーをつけたら、あぐらがかけなくなる方もいるので注意が必要です。
商品名の後ろにある650とか800、900って何の数字?
寝袋に表記されている650、800、900という数字は、「フィルパワー」という羽毛のかさ高を表す単位です。
一定の条件で、羽毛のかさ高を測定し、どのくらいの体積にふくらんでいるかでフィルパワーの数字が決まります。
このフィルパワーの数字が高いほうが、ふかふかで保温性が高く良質なダウンといえます。
そして、同じ重量だとしても、フィルパワーの数字が高ければ、保温性・軽量化・収納サイズに優れるダウンです。
しかし、同じ#3の寝袋でも、900FPは¥44,000(税別)なのに比べ、650FPは¥27,000(税別)と高品質なものほど価格は、当然高くなります。
ダウンハガー650がおすすめな人はこんな人
ダウンハガー650は品質よりも予算を抑えたい方におすすめのモデルです。
ダウンハガー800に比べると重さもあり、大きくかさばりますが、安価で購入することができます。
また、移動手段に車やバイクを使い、持ち運びの際に寝袋の重さを気にしなくてもいい方も、ダウンハガー650がおすすめです。
重量があるので、キャンプや車中泊用に使いたい人向けですね。
登山のテント泊に使うには重すぎるので、多少高くても800を選ばないと後悔するでしょう。
ダウンハガー800がおすすめな人はこんな人
登山をする方は、ダウンハガー800をおすすめします。
前述の通り、ダウンハガー800は650に比べ軽く、小さくかさばりません。
荷物の軽量化が登山の快適さ、ひいては楽しさにもつながってきますのでぜひ800のほうを選ぶといいでしょう。
ダウンハガー900がおすすめな人はこんな人
値段が張っても最高の保温性・軽量化を望む方は、ダウンハガー900をおすすめします。
900FPの寝袋に関しては、シームレスダウンハガーという名前になっています。
900FP以外の寝袋は生地の中で、ダウンが偏るのを防ぐために縫い目をつけています。
しかし、この縫い目が保温性の向上を妨げ、冷気の侵入の助長をしているのです。
そこで、ダウンハガー900は、スパイダーヤーンという特殊な糸を使用しています。
ダウンが偏らない仕様にし、かつ縫い目(シームレス)をなくすためです。
このおかげで、最高の保温性を持ち、シームレスになったことで冷気の侵入も減り、軽量化を実現させています。
したがって、特に長期の登山など保温性と軽量化が必須な方には、ダウンハガー900をおすすめします。
人気ダウンハガーの対応温度
一番人気は800シリーズです。800の後ろに#0や#3のように数字がついて、暖かさを示しています。
数字が小さいほど低温化での環境にも対応できて、大きくなるほど保温性が低く、夏仕様の寝袋となっています。
そして、それぞれの寝袋には、リミット温度というものが設定されています。
このリミット温度とは、一般的にギリギリ眠ることができる温度です。
下記の表が、それぞれの寝袋のリミット温度を表記しています。
ダウンハガー800 | #0 | #1 | #2 | #3 | #5 |
リミット温度 | ‐14℃ | ‐9℃ | ‐6℃ | ‐1℃ | 4℃ |
リミット温度以下の温度域では、低体温症や最悪の場合、死に至る可能性もありますので非常に危険です。
寝袋を購入の際は、使用時に外気温がリミット温度以下にならないよう、慎重に選ぶようにしてください。
モンベルのダウンハガーを登山用寝袋として選ぶなら
夏用なら#3か#5がおすすめ
夏用なら#3か#5がおすすめです。
夏のみの使用で、低山や縦走などがメインであれば#5を、高山や夏以外でも使用することがあるのならバランスのいい#3が適しています。
対応範囲が広いのは#3なので、少しでも迷ったら#3の方が失敗が少ないです。
春・秋なら#3か#2をおすすめ
春・秋なら#3か#2をおすすめします。
#3、♯2は、春~秋用の寝袋となるため、使える時期が非常に長いです。
しかも、夏でも掛け布団として、冬でも洋服を着こんだりするなど、寝袋以外で体温調節の工夫をすれば冬でも使用可能です。
厳冬期なら#0
厳冬期なら#0をおすすめします。
#1は2,000m級、#0なら3,000級の冬山で使用できると言われることもありますが、他の防寒装備によっては保温力不足になりますし、2000m級でも-10度以下になるので、寒がりの私では性能不足に思いました。
よほど暑がりで筋肉質な方以外は、#0を選んだ方が無難です。
しかし、 厳冬期のアルプスを登るような方からすると、#0はあまりにも大きく、重たいとの意見もあり、国内の3,000級でも#1を選んでいる人もいます。
持っていく荷物と、その量などを考慮して選ぶといいでしょう。
モンベルのダウンハガーを選ぶメリット
モンベルのダウンハガーといったら圧倒的な快適性にあります。
その理由は寝袋が良く伸びることです。
サイズのあったものを使用すれば、窮屈さを感じることはなく、寝返りはもちろん寝袋に入ったままあぐらをかくことも可能です。
また、このストレッチ性は、快適性だけでなく体にフィットし、空気の行き来する隙間を埋めることで保温力性にも非常に優れています。
したがって、寝袋に求めるものが寝心地が最優先される方は、圧倒的な快適性を持ったモンベルのダウンハガーをおすすめします。
モンベルのダウンハガーが他社の寝袋に劣る点
モンベルは大手のアウトドア総合ブランドなだけあって価格と品質のバランスがとても良い寝袋ばかりです。
しかし、モンベルと並び、国産寝袋三大メーカーと称されるナンガ、イスカや世界の寝袋製造メーカーと比較すると、劣っている点がいくつかあります。
一つは、アフターサービスです。
どこの寝袋も消して安い買い物ではありませんし、長く使用したいものです。
しかし、長く使えば使うほど、穴が空いてしまったり、ほつれてしまったりしてしまいます。
思わぬ修理費や、新品購入などはできればしたくありませんよね。
そこで、国内自社工場ですべてを製造しているナンガは、寝袋であればアウトレットの商品であっても無条件で永久保証がつき、修理の費用が永久に無料となっています。(一部有償あり。)
一方、モンベルは有償での修理は可能ですが、保証などはついていません。
修理費は、数千円とそこまで高くはありませんが、山行では何が起こるかわかりませんので保証がついていると何分安心です。
二つめは、首から肩にかけてのフィット感が弱く、足元の保温性は冷え性の方や女性にとって心もとないものでしょう。
それに比べ、イスカの寝袋はマフラーのような働きをしているネックウォーマーが、首から肩までを包み込み冷気の入り込む隙間がありません。
足元に関しても、多めのダウンが封入されていて、寒さに敏感な方にも安心な保温性を持っています。
三つめは、性質上致し方がないとは思いますが、ジッパーが生地をよく噛むことです。
噛み込みを軽減する対策はされていますが、ストレッチ性があるダウンハガーは、どうしても他のメーカーと比べると噛んでしまうことが非常に多いです。
噛み込みのおかげで、破れてしまった人は数知れずいるでしょう。
しかし、2020年にダウンハガーのモデルチェンジがあり、ジッパーも「生地の噛み込みを軽減する(予防)パーツ(YKK製)」が標準装備となりました。
イスカやナンガも使用しているYKK製のジッパーによって、以前のモデルよりは開閉しやすくなり、生地を噛むリスクも軽減されています。
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