冬山登山の寝袋、マットの選択は非常に難しいです。何故難しいのかというと、寒さの感じ方は個人差があまりにも大きいこと。メーカー各社の性能表記が統一されておらず、知識がないと比較が難しいことにあります。
冬期テント泊のスリーピングマットは命に関わるので慎重に選びたいですね。
この記事をまとめるために、-10度以下で夏用マットまで試して限界を検証しました
暖かさが足りていないと15分置きに目が覚めて寝れません。
皆さんにはそんな経験して欲しくないので、おすすめできるものを選定しました
眠れないと体力が回復しなくて危ないし、
悪い思い出になっちゃうから納得できるものを選びたいね
特に暖かいモデルを紹介いたします。軽量モデルならニーモ。安定のクライミット、意外にファンが多いシートゥサミットからおすすめできるものを選びました。
私は実際に厳冬期のテント泊からツェルト泊まで過ごして寒さの検証をしていますので、参考になれば幸いです。
商品名 | メーカー | タイプ | 重さ | 温かさ(R値) |
Zライトソル | サーマレスト | フォーム材 | 410g | 2.6 |
テンサーアルパイン | ニーモ | エアマット | 430g | 4.8 |
EVAフォーム | キャプテンスタッグ | フォーム材 | 270g | 推定1.8 |
インシュレーテッド スタティックV | クライミット | エアマット | 709g | 4.4 |
インシュレーテッドスタティックVライト | クライミット | エアマット | 556g | 4.4 |
ウルトラライト インサレーティッドマット | シートゥサミット | エアマット | 430g | 3.3 |
テンサーインシュレーテッド ミディアム マミー | ニーモ | エアマット | 390g | 2.5 |
ネオエアー Xサーモ ベイパー | サーモレスト | エアマット | 430g | 5.7 |
・厳冬期ツェルト泊 必要な装備の考察と防風壁について
・雪山テント泊初心者が始めてのテント泊で感じたこと (上高地テント泊)
クローズドマットだけで厳冬期耐えられるかの挑戦
→【-14度で検証】クローズドセルマットで厳冬期って行ける?
結論は耐えられるけど「推奨しない」と言う結果に
冬期テント泊のスリーピングマットは保温能力で選ぶべし
・冬期テント泊のスリーピングマットはどんなものが必要?
スリーピングマットはテント内、シュラフの下にひくマットです。
テント場は全くの平らではないことがほとんどなので、
マットを使うことで地面のでこぼこによる寝心地の悪さを軽減することができます。
雪山ではマットは冷気を遮断し、安眠するためにとても重要な役割を持ちます。
ちゃんと眠れないと翌日の工程にも影響が出てしまいます
一度、夏用マット+厳冬期寝袋で限界を試してみましたが、
永遠に終わらない夜のように感じました。
ガチで2度とやりたくないです。
マットの種類は3つ。フォーム材+エアマットが特に人気!
フォーム材タイプ
ロールタイプで丸めて持ち運べるタイプや、
折りたたみ式のものがあります。
重いが、値段が安く、耐久性が高いものが多いです。
道具を酷使しそうな方におすすめ。
自動膨張タイプ
内部にクッション材があり、
バルブを開いて放置すれば膨らみます。
ただ完全には膨らまないので自分で膨らませる必要があります。
穴が開くと致命的です。
他2つの中間なので、どっちつかずになりがちです。
これを試せば自分がどちらに向いているかを確認できるので、最初の1つにお試しとして使用するには良いと思います。
エアー注入タイプ
チューブ内がただの空洞のものは、冷たくなりがちです。
断熱材が入っているものやシートで仕切りがあるものは、
かなり暖かさがあります。
穴が開くと致命的です。
値段は高いが、軽く暖かいものが多いです。どちらかといえば冬山向けのものが多いです。
私の雪山テント泊の体験談
私は足元が冷えると眠れないので、肩から足元の長さを確保するようにしています。軽さも大事ですが、薄すぎるマットを選ぶのは避けた方が良いです。 R値という暖かさが記載されているものは数値を参考にできます。
冬に使用が一番多いのはエアー注入式のマットです。寒さに不安があるならフォーム材タイプと2枚重ねがおすすめです。
私自身は、フォーム材タイプの「サーマレスト:Zライトソル レギュラー/ショート [410g/290g] R値2.6」+エアー注入タイプの「シートゥサミット: ウルトラライト インサレーティッドマット 430g 168cm R値3.3 」を重ねて使っています。
これとNANGAオーロラライト900DXがあれば-15度でも怖いものなしです。
このマットと寝袋に決めるまでに冗談抜きで10時間以上下調べをしていますので、誰にも負けないくらい満足しています。
私はBMI18の痩せ型で女性よりも寒がりなので、基本的に私と同じ装備なら寒さに苦しむことはないでしょう。
筋肉質な男性ならシートゥサミットのマットを使わなくても構いません。
寝袋をワンランク下げると、目安として快適使用温度-10度→-4度となり、1万程度安く済みますが、保温能力は6度下がります。
エアマットなしなら保温能力低下は同じ6度でも、価格は1万5千ほど安く済むので、マットを変えた方がコスパが良いのです。
夏用シュラフと重ねるならこちらもおすすめ。NANGAの良いところは購入して寒すぎたら後からダウン追加の注文ができるということです。(費用は有償)
おすすめのスリーピングマット
特におすすめは、エアー注入式の3つです。どれも使われることが多いモデルです。
クラミット :インシュレーテッドスタティックVライト
ニーモ:テンサーアルパイン レギュラー マミー
シートゥサミット:ウルトラライト インサレーティッドマット/オレンジ/スモール
R値が4.4で大型 クライミット:インシュレーテッドスタティックV
クライミット:インシュレーテッドスタティックV 709g 183cm R値:4.4
R値が4.4という暖かさでかなりの長さがあるので大柄な男性でも安心です。重量がややある代わりに価格は安めなので、価格が問題とならないならこの1つ下の軽量化モデルがおすすめです。
R値が4.4で大型 さらに軽量化したクライミットのモデル
クラミット :インシュレーテッドスタティックVライト 556g 183cm R値:4.4
上で紹介したインシュレーテッドスタティックVを軽量化したモデルです。約150g軽くなり、価格差は3000円程度なので、こちらの方がおすすめです。
雪山テント泊をするような方ならすぐに元を取れたと感じれる満足度です。こちらが軽量化モデル冬用として大人気のモデルなので、迷ったらこれで決まりです。
大型なので寝返りで落ちにくいのも快適に感じるポイント!
-20度にも耐え、307gという超軽量モデル
ニーモ:テンサーアルパイン ショート マミー 307g 122cm −29 〜 −23℃
R値表記ではありませんが、-20度を超える寒さに耐えられるモデル。長さが短めなので、軽量化を計る人におすすめ。軽さの分耐久性は劣るので、扱いには注意。
極端に短いので初心者には不向きですが、上級者を中心に人気です。
長くなってもまだ軽い(475g) ニーモ:テンサーアルパイン
ニーモ:テンサーアルパイン レギュラー マミー 475g 183cm −29 〜 −23℃
ニーモ:テンサーアルパイン ショート マミーの長さが長いバージョン。個人的には冬は地面から奪われる熱が大きいので、長めを選んだ方が無難だと思います。
実際に積雪がない冬のテント泊で
テンサーアルパイン レギュラー マミーと
ナンガ オーロラライト600DXレギュラーを使っている方にも聞いて見ました
冬山登山は初めてだったのでしっかりしたものをそろえようと、探したのがこの組み合わせです。寝袋はマイナス4度までで十分だと考えました。
雪山ではないし、国内だから大丈夫だろうと。マットは軽くて断熱性の高いものが欲しいということでR値4.8のマットを選択。快適に過ごせました。ただ、耐水性はなしなのでご注意を。
軽量モデルで長さは中間くらい 寒さへもそこそこ強いバランス型
ニーモ:テンサーインシュレーテッド ミディアム マミー 390g 162cm -12~-7℃
寒さに強い人ならこちらでもok
R値3.3とは思えない温かさ
シートゥサミット:ウルトラライト インサレーティッドマット/オレンジ/スモール 430g 168cm R値3.3
R値3.3の記載ですが、実際にはR値:4.4のニーモのマットにも劣らないといった評判が多い商品です。私自身はこちらを愛用しています。空気が吹き込みやすく、収納も小さくなるので年間を通して使用できます。
R値5.7という驚異の保温性能 ネオエアー Xサーモ ベイパー
ネオエアー Xサーモ ベイパー R(51×183×厚さ6.3cm) R値5.7 430g
R値5.7という暖かさを内部に熱反射板をいれるという方法で実現しています。重さもそこまで重くないので、価格を気にしない人におすすめします。
いかがでしたでしょうか。実際に使うときは、3シーズン用マットと重ねて使うと保温効果が高くなります。
私は、サーマレストのZライトソルと重ねて使用します。
以上、いくつかご紹介しましたが。みなさんのおすすめのマットはなんでしょうか?もし良かったら教えてくださいね。
選び方についてはこちらの動画も参考になります。
マットの前に寝袋を選ぶべきとありますので、合わせて検討するといいかもです。
私が考える理想の組み合わせ
私が実際に使用しているモデルは文中で記載しましたので、それ以外で良いと考えている組み合わせについて参考までにお伝えします。
保温能力大:寒さに不安のある方向け
サーマレストのZライトソル+ニーモ:テンサーアルパイン レギュラー マミー
総重量:765g(290g+475g)
サーマレストのZライトは保温能力の評価が高いマットです。実際に使ってみるとその温かさがわかります。それにニーモの人気モデル:テンサーのアルパイン版マットを組み合わせれば無敵の温かさを得ることができます。
テンサーの良い点は横幅の広さと安定性です。エアマットは膨らませたときに上手く平にならないモデルもありますが、ニーモのテンサーは綺麗に平らになり、寝心地を損ないません。
初めてのマット選びで良く見る組み合わせです。
保温能力大:価格の安さを重視したコスパモデル
フォーム材マットはエアマットを破損から守るためで断熱としての役割を捨て、エアマットは重いが保温性が高いモデルを選択しています。
軽さを捨てた代わりに1万ちょっととかなり安いです。重いといっても上の組み合わせより200gちょっと重いだけなので、浮いたお金で他装備の軽量化を図るのも1つの方法です。
例えば116gの雪山でも使えるバーナーに変えるなど。
総重量:979g(270g+709g)
保温能力中:軽さ重視のUL装備
キャプテンスタッグ EVA フォームマット+サーマレストネオエアー Xサーモ ベイパー
重さを削ったULモデルです。暖かさのほとんどがエアマットに依存するため、キャプテンスタッグ EVA フォームマットは他のもので代用しても問題ありません。
ただエアマットが破損すると寒さが心配なので、寝袋は高性能なものを選んだ方が良いでしょう。
心配ならフォームマットはサーマレストのzライトソルの方が安心です。
参考までにキャプテンスタッグ EVA フォームマットだけだと、
寒がりな私では-14度下で厳冬期用のナンガオーロラライト900dxを使っても
足元から来る冷えがきつすぎて辛かったです。
総重量:700g(270g+430g)
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