ぼくは厳冬期の雪山テント泊で夏用のバーナーを使って、火柱を上げてしまいました。
冬季は低温でガス機器の性能が下がる「ドロップダウン現象」と呼ばれる現象があるため、冬用のバーナー選びが非常に重要になるのです。
何を選ぶべきか、この記事で解説します
この記事の結論
雪山登山のバーナーの利用用途
夏山との大きな違いとして、冬山では水の調達が容易ではありません。
八ヶ岳などの通年営業の山小屋が多いエリアならともかく、そうでないなら雪を溶かして水を調達する必要があります。この記事では雪山で使えるバーナーは何かをまとめています。
でもその前に、もし日帰り登山でバーナーを使おうと考えているなら、
バーナーではなく山専用ボトルをおすすめします。
山頂でバーナーで煮炊きするのは寒すぎて現実的でないからです。
逆に日帰り登山で山ご飯を作れる低山なら夏用のバーナーでも案外大丈夫です。
一度山頂でお雑煮を作ったこともありますが、待っている間が辛いです。
小屋が使えるような山であれば問題ないですが..
山専用ボトルは前日の夜に熱湯を入れれば、次の日の日中でもカップラーメンを作れるくらい暖かさが保てます。
(アルパインサーモボトル900mlで厳冬期の唐松岳で検証)
山専用ボトルの詳細はこちら
やっぱりバーナーが活躍するのは雪山テント泊となると思います。
冬季に発生する「ドロップダウン現象」とは?
ドロップダウンとは、冬季寒い中バーナーを使用すると火力が弱くなってきて機能しなくなる状態を指します。
先日、上高地で朝は-10度近い状態で夏期用ガス缶を寝袋に入れ忘れて使いものになりませんでした。
火力調整自体もできない状態で、最弱の状態でも火柱が20cmも上がって危険でした。というよりテントに穴が空きました。
そもそも寒冷地用のガス缶に変え忘れていたのも悪いのですが、
バーナーが使えないというのはイコール水がないという事態になりかねません。
前日に2L近くの水を確保していたので問題ありませんでしたが、賢明な皆さんはこのような失敗を避けましょう。
・雪山でバーナーが使えないと水が入手できないという問題に直結する
・ガス缶は寒冷地用を持っていくこと
・雪山ではガスの火力は弱くなる
・ガス缶は就寝時は寝袋に入れておく
冬山用のバーナーの種類と特徴
選ぶべきバーナーは2種類あります。
①マルチフューエル式のバーナーか②火力が強いバーナーです。
雪山登山の頻度が高い人は①マルチフューエル式をおすすめします。
これから雪山登山でテント泊をしたい初心者なら②火力の強いバーナーをおすすめします。
・ 寒さに対応できるガソリンや灯油など様々な燃料が使える
・他にガソリン式のランタンなどがあれば兼用にできる
・ベテラン感がでる。
・高火力
・ 値段が高い
・燃料の運搬用の容器が必要
・余熱が必要など手間がかかる
・火力調節があまりできない
・夏と兼用にして1年使い続けることができる
・①に比べて安い
・火力調節がしやすい
・温度に合わせたガス缶を用意する必要がある
・ガス缶を冷やさない工夫が必要
・①に比べて寒さに弱い
アルコールバーナーも雪山で使えるのですが、
重さ単位あたりの熱効率が低いので、荷物が重くても良い人以外にはおすすめできません。
元々アルコールバーナーは夏期の軽量化に向いているので、冬に重くなっても使用したいと考える人は少ない気がします。
雪山登山のおすすめバーナー
①マルチフューエル式のバーナー
評判高いモデルとしてMSRのウィスパーライトがあります。
燃料によって2パターンあります。
MSR: シングルバーナー・ストーブ ウィスパーライト インターナショナル 灯油/ガソリン用 309g
1リットルが湧くまでの時間:ホワイトガソリン/3.5分、灯油/4.4分
燃焼時間(600ml液体燃料あたり):ホワイトガソリン/110分、灯油/160分
最高出力:約2772Kcal/h
慣れるまで火加減に苦労すると思われましたが、簡単に調整できました。
amazonレビューより
炎の大きさは 最大火力→中火(強)→中火(中)→中火(小)と言ったところでしょうか。私の使用範囲ではこれくらいで丁度よいと思います。
ーーーーーーーーーーー 火加減のコツとしては —————-
プレヒートが終わって本燃焼になったら火力調節つまみを二回転一気に閉めますそこから90度徐々につまみを回して調節していくと良かったです
もっと閉めこむこともできました
MSR シングルバーナー・ストーブ ウィスパーライト ホワイトガソリン専用
SOTO:MUKAストーブ 160g
ガソリン式でありながら、プレヒートが必要ないというモデル。
発熱量:4.7kW(4000kcal/h)
使用燃料:自動車用レギュラーガソリン、ホワイトガソリン
使用時間:4000kcal/hで使用時約1時間、2500kcal/hで使用時約1.5時間(自動車用ガソリン480ml使用)
コールマンのホワイトガソリンストーブを使っていましたが、
amazonレビューより
高地や寒冷地などシビアな環境になればなるほど予熱などの儀式が重要になります。
これはそのような手間が必要なく軽量なセットで、
扱いが楽だし、火力の調整も可能。
ガソリンストーブの恩恵を十分に感じています。
SOTO:ストームブレイカー
ガソリンもガス缶も使えるという万能モデル。
その文値段は上がりますが、
これ一本でどんな状況にも対応できるのは魅力です。
ボトルは用途に分けて700と400に使い分けています。
使用感はとても良いです。プレヒート不要ではありませんがほとんど自動といってもよく他のガソリンストーブと比べ
進歩を感じます。また分解清掃をしてみましたが、レギュラーガソリン使用を前提としたのか、例外的に容易です。
設計もMUKAの経験からか、耐久性を主眼としているようで、無理がかかるところはほとんどありません。また
使用部品も耐熱2500度のグラファイト使用等安全マージンが高くなっています。
冬山のバックカントリーにもスベア123とともに長く愛用していく予定です。
amazonレビューより
②火力が強いバーナー
「153ウルトラバーナー」と「REVO-3700 STOVE」は価格も近く、性能も似ているので迷う人が多いです。
私自身は友人でPRIMSの使用者が多いことから、非常時のガス缶の互換性を考え「153ウルトラバーナー」を購入しました。
p-115やウインドマスターも候補に挙げましたが、私は燻製など弱火を維持する料理もするので、調整がしやすい「153ウルトラバーナー」を選びました。
PRIMUS:153ウルトラバーナー 116g
繊細な火力調整ができるのがとても魅力です。
弱火を良く使う料理をするなら持っておきたいバーナーです。
なかなかの爆音なので、ファミリーキャンプ場や朝夜の静かな時間に本格調理で使うのには気を使います。
しかしながら、超とろ火も、実用範囲内の弱火もバッチリ調整出来ますので過酷な状況下でない限りはしっかり調理できて問題無いかと思います。
むしろ冬山登山や吹雪の中での調理でなければスペックを使い切る機会は無いでしょう。
平場で全開だと多分クッカーが焦げて、穴が開きますw
amazonレビューより
具体的な使用感やメリットデメリットについては、以下をご覧ください。
(写真は関西の大和葛城山のテント場で撮影)
EPIgas:REVO-3700 STOVE 111g
耐風性が高く、火力も強いストーブです。
火力も強くゴトクの安定感も良くて満足しています。
ゴトクもほぼX字状になっていて、中央が凹んでいるということもないので、クッカーの大小に関わらず安定していて良いです。
これは気のせいかもしれませんが、ほかのメーカーの着火装置よりも安定的に着火できるような気がします。
ケースはEPIのハードケースで、入れると中でカラカラいいますが、まあバックパックの中に入れてしまえば気になりません。
amazonレビューより
マイクロレギュレーターストーブ ウィンドマスター 230g
雪から水を作る性能についてはずば抜けています。
繊細な火力調整をする予定がないならこれで間違いないでしょう。
すぐにお湯が湧きます!本当にいい買い物でした!
amazonレビューより
軽量で場所をとらずガスの消費もかなり抑えることができます。
炎は一点集中してるので薄いアルミ製のフライパンなどでお肉などを焼くのには不向きだと感じました。鋳鉄製のスキレットであれば熱も満遍なくなるかと思いますが、、、なので山登りなどの重量制限のある環境で、食事はお湯で作ることがメインの場面でこの商品は最適だと感じました。気になったのはボンベに取り付ける為にねじ込みますがかなりキツ目に締めないと調節ネジを回してもガスは出ません。最初は不良品??と焦りましたが、安全面で考えればしっかり締めないとガスが出ないということなのでむしろプラスポイントになりました笑
ジェットボイルは、沸騰到達時間100秒とかなり短いので、速度を重視する登山ガイドの方にも愛されています。
軽量化よりも火力の強さを重視したい方にはこちらがおすすめです。
冬なら雪から水を作るという用途であれば、他の何よりも優れています。
料理に使うという用途では不向きなので、ご注意ください。
以上、バーナーについてでした。
テント泊をするのに何が必要かはこちら
山ごはんについてはこちら
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