皆さんは「冬山のザック」に何が必要なのかわかりますか?
冬山では夏と違い、アイゼンやチェーンスパイクといった滑り止めや、安全のためのピッケルなどの道具が増えてきます。
荷物が増える分、ザックの容量も増えてくるので、合わせて容量も調整する必要があります。
この記事を見ているあなたは冬用のザックをどれにしようか迷っているはず。
冬のザックは夏以上に破損が許されないので、格安品で済ませるのは危険です
あなたの登山の安全に関わる重要な道具だからこそ「実際に冬山登山で学んだ注意点」を元におすすめできるモデルをまとめています。
ぜひ最後まで御覧ください。
この記事の結論
日帰りザックの総集編はココ↓
>>日帰り登山のリュックサック・ザックの選び方
夏に比べて増える荷物とは?
特にピッケルは収納スペースがついているかは見ておきたい
理想はザック内収納といっても、外収納もあった方が選択肢が広がる。
・アイゼン/チェーンスパイク
(山によっては不要)
・ピッケル
・ワカン/スノーシュー
・任意:雪崩対策装備(ビーコン/スコップ/プローブ)
・ゲイター
冬山登山用ザックの選び方・評価基準
ここからは、実際に冬山登山用ザックを選ぶ時の選びかたについて記載していきますね。
容量
冬を除いた3シーズンの日帰り登山では30リットル、人によっては20ℓ前後のザック使っている方が多いのではないでしょうか。
ですが、冬山の日帰りザックの容量は35ℓ以上、できれば40ℓ前後がおすすめです。
理由は、冬山ならではの装備であるアイゼンやチェーンスパイクなどを持ち運ぶことがあるのはもちろん、脱いだり着たりするアウターやお湯を入れた水筒など、かさばるものを持ち運ぶ必要があるからです。
冬山用の装備は、ウェアや用具などかさばるものが多くなります。
また、天候によってはゆっくりとザックから取り出したり、しまったりする余裕が無いこともしばしばあります。
冬山で使うザックの容量には余裕を持ちましょう。
収納機能(ピッケルやアイゼン・雪崩装備をどう収納するか)
冬山特有の装備の収納方法は、一部の雪山用ザックを除けば、ザックの外側に収納するのがおすすめです。
ザック外側の収納が多いと、悪天候の場合にその部分に雪が積もってしまうこともあるので賛否あると思いますが、3シーズン用のザックを使う場合は割り切るしかないでしょう。
具体的には、
・フロントポケットやサイドポケットがある
・ギアループやデイジーチェーン、サイドベルトがある
・ザックボトムが2気室構造になっている
ものがおすすめです。
冬山ならではの装備は、どれも大きく形もザックに収納するにはあまり向いていません。さらに、使うときにはすぐに取り出せる必要があります。
また、下山時など使わない時は、雪が付いていたり濡れているので、ザックの外側に収納、取り付けできた方が良いです。
重さ
ザックの重さは、背負い心地の良さや重さを感じにくいしっかりとした作りを前提に、できるだけ軽いものを選んだ方が良いです。
なぜなら冬山の装備は、ピッケルやアイゼン、雪崩装備など重さがあるからです。
参考までにピッケルは500g前後、12本アイゼンは両足で1kg程度あります。この2つだけで、1.5ℓの水と同じくらいの重さです。雪崩装備やスノーシュー、ワカンなど持ち運べばさらに重たくなります。
冬山登山の荷物は重くなります。
ザックの重さはもちろんですが、自分に合ったザックを選ぶことも大切です。
背面の通気性
背面の通気性はあまり気にしなくても大丈夫です。
なぜなら、冬山向けに作られたザックは、ほとんど通気性は考えられていません。
その代わりに、雪が付きにくい素材でできています。ザックを下ろしたときに、雪を付きにくくするためと、歩いているときに雪や吹雪になった場合、通気性の高いザックだとその部分から雪が入ってしまうからです。
つまり、雪山登山では背中の汗の蒸れよりも、雪がザックにつくことで背中が冷えたり、濡れたりすると凍ったりして問題になるからです。
冬山専用のザック以外を使う場合は、背中の部分がネット上になっているザックなどはできるだけ避けるとよいでしょう。
フィット感
フィット感は少し余裕を持たせた方が良いです。
冬山では厚着をすることもあり、ぴったりのサイズだときつく感じてしまうからです。
背面長を調整できるザックの場合は、3シーズンの時よりも少し余裕を持たせた長さに調整することをおすすめします。
ザックへのアイゼン取り付けはどんな方法がある?
冬山登山の代表的な道具のアイゼンと、ピッケルのザックへの収納、取り付け方法について記載していきます。
まず、アイゼンはアイゼンケースに入れて、
・フロントポケットに入れる
・ボトムが2気室になっているザックはボトムに入れる
・サイドポケットに入れる
のがおすすめです。
理由は、取り出しやすく、アイゼンが濡れていてもザックの中が濡れないからです。
フロントポケットなどが無い場合や、入らない場合はデイジーチェーンなどを使って、ザックの外側に取り付けるか、アイゼンケースごと防水バッグなどに入れて持ち運ぶと良いです。
ザックへのピッケルの取り付けはどうしたら良い?
ピッケルはギアループに取り付けましょう。
取り付け方は写真のようになります。
冬山専用のモデルの一部には、金属製の取り付け金具がついているモデルもあります。
冬山で使えるおすすめの日帰りザック
ここからは、冬山で使えるおすすめの日帰りザックを紹介します。
オスプレー:ケストレル、カイト
ケストレルは48ℓと38ℓがあるモデルで、カイトはその女性用モデルです。
ギアループやフロントポケットはもちろん、サイドポケット、2気室にすることもできるボトム、と収納箇所もほぼそろっています。
その他にもデイジーチェーンや、ザックボトム部にコードが付いているので、ザックの外の取り付け機能も充実しています。
容量も38ℓとちょうど良く女性モデルもあるので、3シーズンから冬山登山まで幅広く使いたい方におすすめです。
オスプレー :ストラトス、シラス
ストラトスは背負い心地を良くするために、背面パネルとウエストベルトが一体になっているザックで、シラスは女性向けのモデルになります。
背負い心地の良いザックですが、背面パネルがメッシュなので、雪上に置くときは気を付けないと雪まみれになってしまいます。
しかし収納は、ボトムジッパーが付いており2気室にすることもでき、ギアループやサイドポケット、フロントポケットもあるので、雪山装備の収納も十分です。
50ℓ、36ℓ、34ℓ、24ℓの容量がありますが、日帰りの冬山登山に使うなら36ℓがおすすめです。
カリマー:リッジ40+
カリマーのリッジ40+は収納が充実した3シーズンはもちろん、冬山登山でも快適に使うことができるザックです。
サイドポケットやフロントポケットの他に、ボトムジッパー付きで2気室にもなります。また、サイドにもジッパー収納があり、1ℓほどのナルゲンボトルなら収納することができます。
デイジーチェーンやギアループなどもあり、ピッケルなども問題無く取り付けることができます。
S、M、Lと3サイズあり、Sサイズは女性向けに作られていて、カラーは黒、青、赤の3色展開です。
30ℓのモデルもありますが、ボトムジッパーが無いので、冬山登山にも使う場合は40ℓモデルがおすすめです。
価格も2万円強と比較的リーズナブルなので、幅広い方におすすめです。
マムート :トリオンノードワンド 38
トリオンノードワンドは、軽くて背負い心地の良い冬山登山やバックカントリースキーに向いたザックです。
ザックの重さが960gととても軽く、背負い心地を良くするために伸縮性のチェストストラップを使うなどの工夫がされています。
メイン気室以外の収納はあまりありませんが、サイドのストラップにスキーを取り付けられるようになっています。
その他にもデイジーチェーンやギアループなど、ザック外の取り付けが充実しています。
冬山登山をメインに、3シーズンもウルトラライトハイクや、スピードハイクを行う方におすすめです。
ミレー: サースフェー30+5
サースフェーは収納箇所が多く、とても使い勝手の良い3シーズンはもちろん、冬山登山にも使いやすいザックです。
フロントポケットはありませんが、ショルダーベルトポケットにサイドポケット、2気室にもなるボトムジッパーなど充実しています。
ザック外のベルトも充実していて、デイジーチェーンやギアループ、ザックサイドのベルトはやや長めに作られていて、スノーシューやワカンも取り付けやすくなっています。
価格も2万円前後とリーズナブルなので、3シーズンはもちろん、これから冬山登山を始めようという方におすすめです。
グレゴリー:アルピニスト35
グレゴリーのアルピニスト35は、雪の付きにくい背面パッドやピッケル、スキーなどの取り付けも考えられた、冬山登山に向いたモデルです。
フロントポケットはアイゼンを収納できるように丈夫な生地で作られており、ピッケルを取り付けるための専用ループもあります。また、サイドにはスキー板を取り付けられるようになっています。
Mサイズで1,530gとやや重たいですが、フレームなどを取り外すことができ、1kg程度まで軽くすることができます。
冬山登山をメインに、3シーズンはスピードハイクなどを行う方におすすめです。
オルトボックス:トラバース38S、40
オルトボックスはドイツのメーカーで、トラバースシリーズは3シーズンはもちろん、冬山登山で使うことも考えられたザックです。
トラバース38Sは、トラバース40の背面長を48cmから46cmに短くしたモデルです。
フロントポケットやサイドポケットなどの収納も多くて、ボトムやサイドにジッパーが付いており、ザック内の物を取り出しやすくなっています。
3シーズンをメインに冬山登山も始めてみようという方におすすめです。
【バックカントリー向け】ザノースフェイス:Chugach Guide 45
チュガッチガイド45は、バックカントリースキーやスノーボード向けに作られた冬山登山モデルです。
スノーボードやスキーの取り付けはもちろん、ピッケルやヘルメットも取り付けられるようになっています。
その他にも大型のフロントポケットにはスコップなどのアバランチギアも収納することができます。
背面も雪の付きにくい素材が使われていて、まさにバックカントリースキーやスノーボード向けのザックになっています。
価格は37,400円(税込)とやや高いですが、しっかりとしたバックカントリー向けのザックを探している方におすすめです。
パタゴニア:スノードリフターパック 30L
スノードリフターパックは、アバランチギアを収納できるフロントポケットや、背面から荷物を取り出せる冬山登山に向いた機能が充実したザックです。
スコップやプローブなどのアバランチギアを収納するフロントポケットや、雪面にザックを置いた時にザック内の物を取り出しやすいように、背面側を開くことができるようになっています。
その他にゴーグルを収納できるポケットや、ヘルメットホルダーなどの機能も充実しています。
シンプルすがポイントを抑えた作りで、これから冬山登山を始めようという方におすすめのモデルです。
まとめ
冬山登山は、アイゼンやピッケルなどの装備が必要で、荷物も増えるのでザック選択は迷いますよね。
冬山登山やバックカントリー専用のザックもありますが、値段も高く冬以外は使いにくいことが多いので少し敷居が高くなってしまいます。
しかし、3シーズン向けのモデルでもポイントを抑えれば、冬山でも使えるモデルがいくつかあります。
今回は3シーズンモデルを中心に、冬山登山でも使いやすいモデルを紹介しました。
今回の記事を参考にザックを選んで、冬山登山をたのしみましょう!
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