クローズドセルマットは、空気を使わないフォーム製のスリーピングマットです。
エアマットや自動膨張マットとの一番の違いは、パンクする部分がないこと。
その代わり、寝心地と収納サイズでは一歩劣ります。
私は、涸沢の紅葉シーズンでエアマットを壊した夜から、これを標準装備にしています。
クローズドセルマットとエアマットの違い

クローズドセルマットは、発泡ポリエチレンなどのフォーム素材そのものを体と地面の間に敷くタイプのマットです。
空気を入れる工程がないので、使うときはただ広げるだけ。
一番のメリットは、岩場に直接置いても穴が開かないことです。
エアマットや自動膨張マットは、鋭い石や枝が刺さると空気が抜けて使えなくなります。
クローズドセルマットには、その弱点がありません。
デメリットは2つあります。
1つは寝心地。厚みが2cm前後しかないため、地面の凹凸をそのまま感じやすくなります。
もう1つは収納サイズ。丸めて小さくできないので、ザックの中か外付けで一定のスペースを取られます。
寝心地を最優先するなら、自動膨張マットかエアマットのほうが向いています。
3タイプ全体の比較は、登山用マットの選び方にまとめました。
クローズドセルマットのメリット・デメリット

メリットを数字で見る
サーマレスト Zライトソルのレギュラーは、重さ410g、R値2.0です(サーマレスト公式・2026年確認時点のスペック)。
この軽さと耐久性の組み合わせが、クローズドセルマットの一番の価値です。
空気漏れを気にせず、どんな地面にも気兼ねなく置けます。
デメリットと向かない人
自動膨張マットやエアマットと比べると、保温力の指標になるR値は上がりにくいです。
Zライトソルの場合、R値は2.0。厳冬期の雪上では、これ単体だと不足します(検証結果は後述します)。
荷物にまったく余裕がなく、少しでもかさばるものを削りたい人にも向きません。
その場合は、自動膨張マットを検討したほうがいいです。詳しいタイプ比較は、登山用マットの選び方で扱っています。
涸沢でエアマットを壊した夜

初めて買ったマットは、自動膨張タイプでした。
紅葉シーズンの涸沢は混んでいました。
テント場に着くのが遅れ、空いていたのは岩がゴロゴロした悪い場所だけでした。
その夜、マットに穴が開きました。
空気が抜けていく感覚で目が覚めました。
岩の角が、薄いマットの生地を貫通していました。
朝まで、地面の冷たさと硬さを背中で感じながら過ごしました。

岩の角で穴が開いた瞬間、空気が抜ける音で目が覚めました。あの夜はもう繰り返したくないです。
歯の根が合わないほど寒かったわけではありませんが、朝まで熟睡はできませんでした。
今思えば、紅葉シーズンの涸沢に遅い時間に着いた時点で、選べる場所がないのは予想できたはずです。
この失敗から、私は判断基準を1つ持つようになりました。
テント場の予約や場所取りが読めない時期に行くなら、パンクしない安心を優先します。
逆に、整地されたテント場が確保できる日帰り的な条件なら、寝心地を優先してもいいです。
これが、私がクローズドセルマットを標準装備にした理由です。
クローズドセルマットのサイズの選び方

最初はレギュラーを買ってカットする
最初に買ったマットは、身長に対して短すぎるサイズでした。
寝心地が悪く、不満なまま使い続けていました。
試行錯誤の末、身長166cmの自分には、レギュラー(183cm)から1節だけ切った130cm前後がちょうどいいとわかりました。
1節カットすると、重さは-32g、長さは-12.5cm変わります。
切った部分は捨てずに、休憩用のヒップマットとして二次利用できます。

最初はレギュラーを買ってカットする。これが一番失敗しない進め方です。
スモールサイズを最初から買わない理由
体型に合うサイズは、使ってみないとわかりません。
スモールサイズ(129.5cm)を最初から買うと、短すぎて眠れないリスクがあります。
マットが短すぎると眠れません。眠れないと、翌日の体力が削られます。
だからこそ、最初はレギュラーを買って、自分の体に合わせてカットする進め方を勧めます。
おすすめのクローズドセルマット2選
| 商品 | 重量 | 厚さ・R値 | 向いている使い方 | 詳細 |
| サーマレスト Zライトソル(R) | 410g | 2cm・R値2.0 | 標準装備・耐久性重視 | 詳細を見る |
| エバニュー FPmat 100 | 160g | 5mm・R値非公表 | 薄型併用・ザック収納重視 | 詳細を見る |
サーマレスト Zライトソル(標準装備)
アルミを蒸着した表面が、蒸着なしのモデルより断熱性を20%高めています(サーマレスト公式の製品説明)。
アコーディオン状に折りたたんで収納するタイプで、短い休憩でもすぐに出せます。
デメリットは2つです。
1つは、自動膨張マットやエアマットと比べると寝心地が硬いことです。
上位の自動膨張マットのほうが快適性は上ですが、その分重く、パンクのリスクも抱えます。
もう1つは、かさばることです。
外付けにする場面が出てきます。外付け時の固定方法は、別の記事で扱います。
価格帯は、消耗品として割れても買い替えやすい位置にあります。
高価なエアマットを岩場で壊すリスクを避けたい人には、この価格と耐久性のバランスが合います。
エバニュー FPmat 100(薄型・併用前提)
重さ160g、サイズ1,000×500mm、厚さ5mmです(エバニュー公式・2026年確認時点のスペック)。
あえて薄く、硬く作られています。
薄さが軽量・コンパクトを実現し、硬さが岩の突き上げを緩和します。
折りたたんでザックの中に収納でき、収納時はザックの背面パッドとしても使えます。
デメリットは2つです。
1つは、単体では寝心地が硬いこと。公式も「薄いので寝心地はふかふかとはいきません」と説明しています。
もう1つは、冬の保温力です。公式の注意書きにも「冬はこれ1枚だけだと暖かくないケースがある」とあります。
エアマットの下に敷いて併用すると、パンク防止と防寒を同時に満たせます。
単体性能で選ぶマットではなく、併用前提の補助マットとして見ると評価が変わります。
同ブランドの旧モデル「Zライト」との違い
サーマレストには、アルミを蒸着していない「Zライト」という旧モデルもあります。
蒸着の有無だけで、断熱性が20%変わります。
価格を抑えたい場合はZライトも選択肢ですが、迷ったら蒸着ありのZライトソルを選んでおけば失敗しません。
他メーカーの薄型クローズドセルとの違い
同じクローズドセル系では、モンベルの「タタミパッド」(R値0.7)のような薄型モデルもあります。
タタミパッドは休憩用・補助用としての薄さを優先した設計で、テント泊のメイン装備としての保温力はZライトソル(R値2.0)やFPmat 100には及びません。
メイン装備として1本で寝るなら、R値2.0前後のクローズドセルを選んでおくと安心です。
迷ったらこれ
初めての1本なら、サーマレスト Zライトソル一択です。
実績のある断熱性能と耐久性があり、カットしてサイズ調整できる余地もあります。
薄さと軽さを極限まで求めるなら、エバニュー FPmat 100をエアマットと併用する選択もあります。
厳冬期にクローズドセル1枚で足りるか

厳冬期の雪上で、クローズドセルマット1枚だけで眠れるのか。
八ヶ岳の-14度でビビィ泊を試しました。
組み合わせは、ナンガ オーロラライト900DX、Zライトソル(R値2.1相当)、夏用エアマット(R値1.3)です。
この組み合わせでは、「眠れるが快適ではない」という結果になりました。
夏用マットでは、1-2回夜中に目が覚めました。

クローズドセル1枚だけで厳冬期に行くのはやめて。寒がりなら絶対に重ね使いして。
クローズドセルマット単体で、厳冬期の雪上に挑むのは勧めません。
寒がりな人ほど、クローズドセルだけに頼らず、保温力の高いマットを重ねる必要があります。
この検証の詳細と、快適に眠れた組み合わせは、-14度で検証したクローズドセルマットの記事にまとめました。
他タイプとの比較は?

クローズドセルマット以外にも、自動膨張マットとエアマットがあります。
3タイプを横並びで比較し、自分に合うタイプを決めたい場合は、登山用マットの選び方を読んでください。
このページでは、クローズドセルマットを選ぶと決めた人のための、サイズと商品の選び方に絞りました。
クローズドセルを選ぶ思想的な背景は、山と道の講義「UL的なスリーピングシステムを考える」でも詳しく語られています。
よくある質問
クローズドセルマットは夏でも使える?
使えます。むしろ夏は保温力が余るぶん、かさばりだけがデメリットとして相対的に大きくなります。
クローズドセルマットは経年劣化する?
使用年数によってアルミ蒸着面の状態が変わる可能性はありますが、具体的な劣化時期は確認できていません。気になる場合は、メーカーの公式サポートに確認してください。
まとめ
パンクしない安心を取るか、寝心地を取るかは、自分の失敗体験から判断していいです。
岩場やテント場の条件が読めない時期に行くなら、クローズドセルマットを選ぶ理由になります。
サイズ選びに迷ったら、レギュラーを買って自分の体に合わせてカットしてください。

商品を1つに絞るなら、サーマレスト Zライトソルから始めるのが失敗しにくいです。




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